ホンダeへ通じる「もどかしさ」 ミニ・エースマン E 硬い乗り心地に200kmは本当に丁度良い?

公開 : 2025.05.14 19:05

小さなボディに広い車内を叶えたと主張される、エースマン Eの現実的な航続は約200km 即時的な反応のモーター 低速で硬めの乗り心地 ホンダeへ通じるもどかしさが滲む UK編集部が試乗

小さなボディに大きな車内? 丁度良いミニ

欧州の自動車メーカーは、矢継ぎ早に新しいバッテリーEVを投入している。ミニもクーパーとカントリーマンに続いて、エースマンを発売した。前者2種は、エンジン仕様も選択できるけれど。

エースマンは、バッテリーEV専用モデルとなる、クーパーの車高を持ち上げた成り立ちのクロスオーバー。今回試乗したのはベースグレードとなるエースマン Eで、駆動用バッテリーの容量は38.5kWhと小さい。

ミニ・エースマン E クラシック(英国仕様)
ミニ・エースマン E クラシック(英国仕様)

コンパクトなボディに、ファミリーカーとして使える車内空間を実現した、丁度良いミニだと主張される。Eなら価格は一層身近なものになり、普段使いに困らない航続距離が備わるとも。だが、丁度良いと感じるかどうかは、ライフスタイルに依存するだろう。

大人には狭めの後席 現実的な航続は約200km

全長は4079mm、全幅は1754mmで、ルノー・クリオ(ルーテシア)より僅かに長いものの、2025年の基準でいえば確かに小柄。1.7m超えの全幅は、最近では当たり前のようになってきた。

ファミリーカーとして使えるか、という点は少し疑問。荷室は正直狭く、リアシートは大人には窮屈かもしれない。ISO FIX規格のチャイルドシート・マウントは3脚ぶん並んでいるが、間隔がきつく、実際は3脚並べることはできない。

ミニ・エースマン E クラシック(英国仕様)
ミニ・エースマン E クラシック(英国仕様)

1度の充電で走れる航続距離は、カタログ値で305km。今回は数週間試乗させていただいたが、市街地での電費は平均で7.0km/kWhと褒められる。ところが高速道路に入ると、5.0km/kWh前後へ低下していた。

現実的な数字は、200km程度になる。平均的な通勤環境なら、数日間は無充電で過ごせるとはいえる。

即時的な反応のモーター 低速で硬めの乗り心地

ダッシュボードの中央には、若者へ受けるであろう、薄い円盤状のインフォテインメント用モニター。インターフェイスのデザインは、アイフォーンに似ており扱いやすい。

パワートレインの印象は良い。最高出力は183psあり、1720kgの車重には充分。電気モーターの反応は即時的で、エースマン SEの方が34ps強力だが、一般道で違いを感じる場面は限られるはず。

ミニ・エースマン E クラシック(英国仕様)
ミニ・エースマン E クラシック(英国仕様)

サポート性に優れたシートへ身を任せられる、運転席のポジションは高めで、視界は広々。全幅も狭めといえ、先を急ぐドライバーが多い市街地でも導きやすい。ミニらしく、ステアリングの反応は非常に直感的でもある。

乗り心地は、高速道路では滑らかに転じるものの、ツギハギが多く速度域の低い市街地では、路面の凹凸を拾いがち。シートとステアリングホイールを通じ、明確な揺れが収まらなかった。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    役職:デジタル編集者
    10年以上ジャーナリストとして活動し、雑誌、新聞、ウェブサイトに寄稿してきた。現在はオンライン版AUTOCARの編集者を務めている。オースチンやフェラーリなど、1万円から1億円まで多数のクルマをレビューしてきた。F1のスター選手へのインタビュー経験もある。これまで運転した中で最高のクルマは、学生時代に買った初代マツダMX-5(ロードスター)。巨大なジャガーXJ220も大好き。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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