【賛否両論ジャガーを森口将之が分析】衝撃コンセプト『タイプ00』日本上陸!大胆不敵に英国らしさを追求

公開 : 2025.05.19 12:25

情緒的な線や面がない

一方でこれまでのジャガーと異なるのは、情緒的な線や面がないこと。とはいえこれは、タイプ00固有の特徴ではない。僕が取材したクルマでは、テスラ・サイバートラックやソニー・ホンダモビリティAFEELA 1と共通する。

たとえばAFEELA 1では、ホンダから来たデザイナーが、ボディサイドにキャラクターラインを入れてクルマをしっかり見せようとしたのに対し、ソニーから来たデザイナーは、鏡面のようなサーフェスに風景が映り込むほうが美しいのではないかという提案があり、その方向で形にしていったと話していた。

サイドパネルは曲面で、この曲率を乱れなくフロントからリアまで続けるのは、造形面でかなりの技術を要するだろう。
サイドパネルは曲面で、この曲率を乱れなくフロントからリアまで続けるのは、造形面でかなりの技術を要するだろう。    森口将之

とはいえ造形が単純というわけではない。フロントマスクやフードは平面だが、サイドパネルは曲面で、この曲率を乱れなくフロントからリアまで続けるのは、造形面でかなりの技術を要すると思っている。

それにテスラのサイバートラックは、個人的にはかつてのセダンピックアップ、シボレー・エルカミーノなどを連想させるし、AFEELA 1は1980年代のホンダ車っぽい。そしてタイプ00は、ウィリアム・ライオンズがジャガー・ブランドを立ち上げる前に送り出したSS1の、エアラインクーペというボディが近いと感じる。

モダンなサーフェスの中にヘリテージを込めることも、最近登場した3台に共通していると言えるのだ。

2025年後半に4ドアGTを発表予定

気になったのはストライクスルーと呼ばれるルーバー風処理だ。フロントやリアだけでなくルーフやホイールにも施されているが、普遍的な造形でもある。とりわけフロントは、これが新しいジャガーの顔だと言われてもピンと来ない人はいるだろう。

今回インテリアは公開されなかったが、バタフライドアからアクセスするそこは、エクステリア以上にモダンでありつつ、ウッドパネルの代わりに手仕上げの真鍮をあしらったりして、あの雰囲気を受け継ごうとしているし、水平基調で落ち着きがあり上質感も伝わってくる仕立ては、英国のブランドらしい。

ジャガーは輝かしいヘリテージを持ったブランドだが、ヘリテージブランドではないと強調するマーデル氏。
ジャガーは輝かしいヘリテージを持ったブランドだが、ヘリテージブランドではないと強調するマーデル氏。    森口将之

それだけに、今回のコンセプトカーをベースに、2025年後半に発表予定と公表されている4ドアGTでは、無機質的な感じも受ける顔に、ジャガーだと分かる表情が盛り込まれることを期待したい。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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