歴代最強 紛うことなきロールス・ロイス スペクター・ブラックバッジへ試乗 2割増し価格へ納得
公開 : 2025.04.16 19:05
659psへ強化されるブラックバッジ ステアリングに追加された無限大ボタン 加速力に乗り心地、操縦性は真のロールス・ロイス 想像以上に運転は楽しい 2割増し価格へ納得と英編集部は評価
もくじ
ーツインモーターで659psのブラックバッジ
ーステアリングに追加された無限大記号のボタン
ー加速力に乗り心地、操縦性は真のロールス・ロイス
ー想像以上に運転は楽しい 20%増しの価格へ納得
ーロールス・ロイス・スペクター・ブラックバッジ(欧州仕様)のスペック
ツインモーターで659psのブラックバッジ
BMWへ買収されるまで、ロールス・ロイスは自社のエンジンが何馬力を発生するのか、公表しなかった。1990年代後半までは、「充分なだけ」と表現するに留まっていた。
それから四半世紀が過ぎ、ブランドはすっかり様変わりした。最新のクーペ、スペクター・ブラックバッジには2基の駆動用モーターが積まれ、最高出力は659psだと主張されている。史上最強のロールス・ロイスになるという。

0-100km/h加速も、公表されている。実に4.1秒で、その鋭さはサーキットでも実証済みだ。とはいえ、元CEOのクリス・ブラウンリッジ氏が主張するとおり、スペクターは真のロールス・ロイスでもある。
もう少し反社会的な見た目にしたい、と希望する顧客は多いのかもしれない。今回試乗したブラックバッジは、深い色調の威圧的なデザインテーマで仕立てられる。オーダーメイドのビスポークプログラムではない、ラインナップの1つとして追加された。
通常のスペクターより強力なモデルは、当初から計画されていた。一部の特別な顧客へ先行的に試乗してもらい、印象を伺うべく、秘密裏に25台が試作されたという。
そんな高性能は必要ない、と返した人もいたかもしれない。しかし、特別扱いに優越感を感じたユーザーは少なくないはず。「お客様は約半年間、存在しないはずのクルマに乗られていました」。ブラウンリッジが口にする。
ステアリングに追加された無限大記号のボタン
ロールス・ロイスは、年間5000台から6000台のクルマを販売している。それを大きく増やす計画は立てられていない。シェアを広げるのではなく、ユーザーへ特別感を味わってもらうことを、ビジネスの柱にしている。
筆者のもとへやってきたのは、もちろん秘密のスペクターではない。量産仕様のブラックバッジだ。通常との違いは、スタイリングやインテリアだけでなく、技術的な部分にも及んでいる。

外観では、ホイールやダーククロームのトリムが専用品。サイドシルのキックプレートには照明が内蔵され、内装はカーボンファイバー製トリムで飾られる。
1980年代や1990年代のナイトクラブをイメージさせる、バイオレット仕上げも新たに設定された。もっともロールス・ロイスだから、基本的にはオーナー好みにコーディネートできる。事実上、どんな仕上げでも可能だ。
技術的には、659psへのパワーアップが目玉。ただし、デフォルトでは通常と同じ585psに制限されたドライブモードが選ばれている。ステアリングホイールに追加された無限大記号のボタンを押すと、上乗せされた74psが開放される。
このインフィニティ・モード時は、静止時にブレーキペダルとアクセルペダルを同時に踏み込むことで、モーターが身震いするようにひと揺れし、ローンチコントロールがオンになる。同社はこれを、スピリット・モードと呼んでいる。
この時に限り、最大トルクは109.4kg-mへ増強。0-100km/h加速は、4.5秒から4.1秒へ短縮される。
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