アウディ 2033年のエンジン車廃止を撤回 「柔軟性」求めて開発継続

公開 : 2025.06.17 18:45

アウディは内燃エンジン車の販売と開発を2033年に終了するという計画を撤回しました。具体的な廃止時期は定まっていません。また、今後はVWグループの大型車の基本開発をアウディが主導することになっています。

エンジンの廃止時期は「未定」

アウディは、2033年に内燃エンジン車の開発と販売を終了するという決定を撤回した。現時点では具体的な廃止時期は未定となっている。

当初、来年には内燃エンジンの新規開発を終了し、新型車も発売しない予定だった。しかし、最近になって計画の中止がほのめかされていた。

高性能モデルの『RS』シリーズも販売・開発が継続されるようだ。
高性能モデルの『RS』シリーズも販売・開発が継続されるようだ。

AUTOCARの取材に対し、アウディのゲルノート・デルナー最高経営責任者(CEO)は、「終了時期を発表したのはわたしではない」と強調し、この決定は前経営陣によるものだと述べた。そして、「柔軟性を重視する」ため、この決定を覆したことを明らかにした。

デルナー氏は次のように述べている。

「アウディは2024年から2026年にかけて、内燃エンジン車とプラグインハイブリッド車(PHEV)の新規ラインナップを展開します。これにより、少なくとも今後7年、8年、あるいは10年間は完全な柔軟性を確保でき、その後、市場の動向を見極めていくことになります」

「当社は、過去に通達した生産終了期限を延長することを決定しました」

また、今後、フォルクスワーゲン・グループの大型モデル(A5サイズ以上の車両)向けのハードウェアおよびソフトウェア開発をアウディが主導する。グループ初の「ソフトウェア定義車両(SDV)」向けの次世代SSPプラットフォームも同様で、アウディの量産車には2027年末から2028年初頭に導入される予定だ。

ただし、アウディはモデルラインナップを縮小しており、A1およびQ2の後継車の計画はない。Q3およびA3がエントリーモデルとなり、A8がセダンやハッチバックの最上位モデル、Q7およびQ8、そして開発が検討されているQ9が、SUVやクロスオーバーの最上位モデルとなる。

デルナー氏は、A3サイズの新型EVを開発中で、2026年に発売を目指していると明かしたが、フォルクスワーゲンID.2に相当するエントリーレベルのEVを開発する計画はないと述べた。

アウディのF1チームについて、デルナー氏は「将来のロードカーについて考えるきっかけとなる」とし、市販車とレースを結びつける新しいモデルにも言及した。また、F1エンジン規則から効率性やハイブリッド・パワートレインのマネジメントについて学んだことは、市販車にも活用できるという。

スーパーカーのR8やスポーツカーのTTなどの復活について記者から尋ねられると、デルナー氏は「あらゆることを検討しています。わたし達はカーガイ(クルマ好き)ですから。きっと驚くはずです」と答えた。

ただし、「そのような分野にもアウディの活躍の場はあります。さまざまな選択肢を検討していますが、そのことについて話すのはまだ少し時期尚早です」とし、詳細については明言を避けた。

記事に関わった人々

  • マーク・ティショー

    Mark Tisshaw

    役職:編集者
    自動車業界で10年以上の経験を持つ。欧州COTYの審査員でもある。AUTOCARでは2009年以来、さまざまな役職を歴任。2017年より現職の編集者を務め、印刷版、オンライン版、SNS、動画、ポッドキャストなど、全コンテンツを統括している。業界の経営幹部たちには定期的にインタビューを行い、彼らのストーリーを伝えるとともに、その責任を問うている。これまで運転した中で最高のクルマは、フェラーリ488ピスタ。また、フォルクスワーゲン・ゴルフGTIにも愛着がある。
  • 林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事