わずか6分で「満タン」 EV充電速度を短縮するBYD最新バッテリー技術

公開 : 2025.06.24 18:45

BYDの『ブレード』バッテリーは、剣のように細長いセル形状からその名が付けられました。最新版では最大1000kWの超急速充電に対応し、「10C」の充電レートを実現しているとのこと。概要を解説します。

最大1000kWの超急速充電に対応

EVのドライブトレイン、特にバッテリーは、内燃機関と比較して驚くべき速さで進化している。

その結果、航続距離は向上したが、おそらくさらに顕著なのは、充電時間を内燃機関の給油時間と同等にしたいという願望だ。

「フラッシュ充電」対応バッテリーでは、10Cの充電レートを実現したという。
「フラッシュ充電」対応バッテリーでは、10Cの充電レートを実現したという。

BYDは最近、新開発の『スーパーeプラットフォーム』とともに、超急速充電を行う「フラッシュ充電」に対応したリン酸鉄リチウムイオン(LFP)バッテリー『ブレード』を発表した。このバッテリーは、わずか6分で充電を完了するとされている。

発表によると、スーパーeプラットフォームは最大1000kWの充電に対応できるという。数年前まで、一般的な急速充電の速度が50kWだったことを考えると、驚異的なスピードだ。

ブレード(Blade)という名称は、このバッテリーの珍しい形状を表したものだ。長さ1m近くの細長いセルでモジュールが構成されており、従来のポーチ型、円筒型、角柱型のセルとは大きく異なる。

セル形状は独特だが、正極材のLFPはごく一般的なものだ。LFPの利点は、経済性、コバルトやニッケルの不使用、そして何よりも安全性にある。LFPは、定置型バッテリーシステム(家庭用太陽光発電システムを含む)でよく使用され、損傷時にも熱をゆっくりと放出し、酸素を放出しない。

BYDはブレードバッテリーのセルで釘貫通試験を行い、火や煙は発生しなかったとしている。一方、ニッケル・マンガン・コバルト(NMC、三元系)の正極材を用いたセルは、同じ試験で激しい反応が見られた。

LFPバッテリー自体は特別なものではないが、10Cの充電レートを達成した点は特筆すべきだ。このCとは「Cレート」のことで、バッテリーがどれだけ速く充放電できるかを示している。

バッテリーを0%から100%まで1時間で充電する場合、レートは1Cとなるが、10Cでは6分に短縮される計算だ。ただし、実際の使用環境では、充電器の性能やバッテリーの温度管理能力など、さまざまな要因に左右される。

BYDのスーパーeプラットフォームは、バッテリーだけでなくモーター、電源、エアコンも含め、車両全体で最大1000Vの高電圧に対応している。中国ではすでに4000基の1MW(1000kW)充電器を設置する計画があり、残る課題は、LFPバッテリーの充電速度を高める方法だ。

充電時、リチウムイオンは各セル内の正極(カソード)から負極(アノード)に移動する。BYDは、「超高速イオンチャネルを構築し、バッテリーの内部抵抗を50%削減」することで、驚異的な充電速度を実現したと説明している。

その具体的な構造については言及を避けたが、このイオンチャネルは、正極と負極の間でイオンを輸送する電解質の組成と、電極が接触するのを防ぐセパレーターに関連していると考えられる。

記事に関わった人々

  • ジェシ・クロス

    Jesse Crosse

    役職:技術編集者
  • 林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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