楽しい移動手段を求める若者へ ボンド・バグ 700ES(2) ホンダN600に迫った加速力

公開 : 2025.07.27 17:50

加速は活発 想像以上に走りは楽しい

大きなキャノピーは高く持ち上がるが、高身長の人にとって、小さなバグへ乗り込むのはひと苦労。サイドガラスとシートポジションが影響し、ステアリングホイールを避けつつ、高跳びするように体をねじりながら腰を下ろす。

ペダルが並ぶ足もとの空間は、かなり狭い。正直、筆者の身長では運転が簡単ではない。少なくとも、ガラスエリアが大きく閉塞感はない。

ボンド・バグ 700ES(1970年~1973年/英国仕様)
ボンド・バグ 700ES(1970年~1973年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

この700ESは848ccエンジンへ換装され、車重396kgで加速は活発。オリジナルの701ccエンジンでも、当時のコンパクトカーによる0-100km/h加速対決では、ホンダN600に次ぐ2位のタイムを残している。オースチン・ミニやルノー4に競り勝って。

エンジン音は硬質。荒れた路面では、揺れが止まらない。ステアリングはダイレクトで、ロックトゥロックは2.2回転とクイック。4速MTのフィーリングも良好で、想像以上に走りは楽しい。コックスがオーナーズクラブへ熱意を注ぐ理由にも、うなづける。

バイクと自動車の間を埋める新たな可能性

3輪車を好んだジャーナリスト、ハロルド・ヘイスティングス氏は、モーター誌で次のようにまとめている。「ボンド・バグは、興味深い実験といえるでしょう。バイクと自動車の間を埋める、新たな領域となる可能性を秘めています」

残念ながら、それは可能性のまま終わった。バグは年齢層の高い人の支持を集めたが、1974年に静かに幕を閉じている。

ボンド・バグ 700ES(1970年~1973年/英国仕様)
ボンド・バグ 700ES(1970年~1973年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

ウェッジシェイプを、他社より先取りして量産化されたバグ。ボンドの遊び心によって、新しいデザインスタイルの民主化が、平等主義的マイクロカーで図られたといってもいい。再評価すべき、クラシックカーではないだろうか。過大評価は禁物だが。

協力:アンドリュー・コックス氏、ナッツ・アバウト・ボンド・バグズ、ザ・ボンド・クラブ

ボンド・バグ 700ES(1970年~1973年/英国仕様)のスペック

英国価格:628ポンド(新車時)/1万5000ポンド(約293万円/現在)以下
生産数:2272台(バグ合計)
全長:2794mm
全幅:1397mm
全高:1270mm
最高速度:122km/h
0-97km/h加速:23.7秒
燃費:12.4km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:396kg
パワートレイン:直列4気筒701cc 自然吸気OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:31ps/5000rpm
最大トルク:5.2kg-m/3000rpm
ギアボックス:4速マニュアル(後輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・チャールズワース

    Simon Charlesworth

    英国編集部
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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