ダッシュボードはラジカセ風! モビライズ・デュオへ試乗 航続160km クラス最有力の選択肢に?

公開 : 2024.12.17 19:05

ルノーの新モビリティ・ブランド:モビライズ トゥイージのコンセプトを継承 航続距離160km シザードアの個性的な容姿 フルアクセルで流れに乗れる 最有力な選択肢に? 英編集部が評価

ルノー・トゥイージのコンセプトを継承

今回試乗した電動マイクロカー、モビライズ・デュオをご紹介する前に、ルノー・トゥイージーを振り返っておこう。サイドガラスやヒーターを省き、シートが縦に並んだ、2人乗りの小さなバッテリーEVだった。

2012年に発売され、航続距離は80kmほど。価格は、最小クラスのハッチバックよりお手頃だった。ニューモビリティ・コンセプトという名の日産版が存在したことを、ご記憶の読者もいらっしゃるはず。ただし、多くの支持は集めなかった。

モビライズ・デュオ・リード(欧州仕様)
モビライズ・デュオ・リード(欧州仕様)

デュオのコンセプトは、そのトゥイージーの特長を継承しつつ、現代へ合致する水準へ引き上げるというもの。装備は見直され、航続距離は2倍に伸延。雨天でも困らない、開閉式のサイドウインドウも獲得している。

欧州では、同クラスの電動マイクロカーとして、シトロエン・アミやマイクロ・マイクロリノなどが売られている。この市場は急成長する可能性があると、モビライズは捉えているそうだ。

英国価格は、約9500ポンド(約185万円)の予定。駆動用バッテリーには、8年間か8万kmの保証が付帯する。果たして、その実力はいかに。

航続距離は160km シザードアの個性的な容姿

電動パワートレインは、欧州の小型四輪車規格へ合致するよう、2種類が設定される。デュオ 80エボはL6e仕様で、最高出力8ps、最高速度45km/h。今回試乗したのは、ひとつ上のL7eに適合するデュオ 80プロで、21psあり、80km/hまで出せる。

駆動用バッテリーは、10.3kWh。1度の充電で160km走れると主張される。ただし、真冬の環境では100km程度へ短くなるようだ。急速充電には対応せず、残量20%から80%への回復に、最短で3時間半ほどかかる。

モビライズ・デュオ・リード(欧州仕様)
モビライズ・デュオ・リード(欧州仕様)

見た目は、電動マイクロカーで共通することだが、個性的。サイドドアは上方へ跳ね上がるシザー・スタイル。ヘッドライトは四角く、細いホイールがボディの四隅で踏ん張る。市街地で目立つことは間違いなく、トゥイージーへ通じる雰囲気も香る。

全長は2430mm、全幅が1300mm、全高は1460mm。一般的な駐車場の枠に、縦に3台停められる。

2024年らしく、ボディやシャシーは持続可能性へ配慮されている。前後のバンパーは、ワンピースの樹脂製で同じ形。ウインカーも前後左右で同一だから、製造時の環境負荷を減らせる。車重で換算すると、40%が再生素材とのこと。

また、95%の部品はリサイクル可能。生産から利用、廃棄までのライフサイクルで考えると、CO2の排出量は、小型ハッチバックの3割程度に抑えられるという。

安全性もおろそかではない。メインフレームはスチール製で、クラッシャブルゾーンも確保。ブレーキは前後ともディスクで、3点式シートベルトとエアバッグも備わり、このクラスでは最も安全だとか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    役職:ソーシャルメディア・エグゼクティブ
    AUTOCARのSNS担当として、X、YouTubeショート、インスタグラムなどの運営を任されている。以前は新聞紙や雑誌に寄稿し、クルマへの熱い思いを書き綴っていた。現在も新車レビューの執筆を行っている。得意分野はEVや中古車のほか、『E』で始まるBMWなど。これまで運転した中で最高のクルマは、フォルクスワーゲンUp! GTI。 『鼻ぺちゃ』で間抜けなクルマだったが、家族の愛犬もそうだった。愛さずにはいられないだろう。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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