ルノー5からパンダまで、小型車を救った人物 フランソワ・ルボワン氏:デザイナー賞 AUTOCARアワード2025

公開 : 2025.07.29 11:05

デザインへの並々ならぬ熱量

グランデ・パンダは、1980年の初代パンダからインスピレーションを受けているが、小型ハッチバックとしての直接の後継車というわけではない(そちらは現在、ルボワン氏のチームが開発中)。500シリーズと双璧をなすパンダファミリーの先駆けとなる、一回り大きいモデルだ。

「このクルマを新しいアイコンにする方法を考えなければなりませんでした」と彼は続ける。「最善の方法は、当社のストーリーを活用し、過去を持ちながら未来に向けて前進するクルマを作ることでした」

フィアット・グランデ・パンダ
フィアット・グランデ・パンダ

グランデ・パンダは、ステランティスのコスト重視型スマートカー・プラットフォーム(シトロエンC3オペル/ヴォグゾールグランドランドなども採用)をベースとしており、それはルボワン氏にとって強力な出発点となった。「この製品を市場の新領域に位置付け、既存のパンダと補完し合いながら、グローバル車としての可能性も持たせる必要がありました」

ルボワン氏は、初代パンダと新型パンダとの共通点はスタイリングではなく、「実用的なものをデザインすること」にあると主張し、次のように付け加えた。「フィアットらしさ、イタリアらしさが欲しかった。つまり、あまり実用的すぎないことも重要です。もし実用的すぎると、ドイツ車のようになってしまうでしょう。それはそれで良いことですが、わたし達はイタリアらしさを失ってはなりません」

「機能的でありながら、それ以上に、見る人を笑顔にする要素も必要なのです」

グランデ・パンダのトランクリッドには「Fiat」のロゴが刻印され、側面には「Panda」と車名が刻まれている。こうしたディテールが重要なのだという。

これは低価格車としてはかなり大きな挑戦であり、ルボワン氏は「あらゆる面で大変な苦労がありました」と認めている。「可能な限りコストを削減する一方で、グランデ・パンダとして必要なものは守らなければなりませんでした」

見た目以外の機能を持たないボディのプレス加工は、「コストを正当化するのが難しかった」としながらも、「それはオリジナル車の哲学に深く根ざしたものであり、このクルマの個性を形作る要素だと感じていました」と言う。

しかし、経営陣の承認を得たにもかかわらず、工場では当初、適切な品質レベルを満たす加工を行うことができなかった。解決策は、意外なところにあった。「Panda」の文字は、プレス加工の質を維持できるデザインに変更され、それがロゴのフォントになったのだ。

「刻印のフォントは、まさにパンダの哲学を体現した工業デザインです。フィアットは誰もが手に入れられるソリューションを提供することを使命としています。それが、わたしが工業デザイナーとしてフィアットにいる理由でもあります。わたしの価値観に合っているのです」

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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