日産マイクラのホットな兄弟 アルピーヌA290(1) 5 ターボを彷彿 EV期待の星のハードを解説

公開 : 2025.06.19 19:05

新型マイクラの兄弟版ホットハッチ、アルピーヌA290 5 ターボを彷彿とさせる見た目 高級感に唸らされる内装 公道で満足できる220ps ゴルフ GTIと重なる大人な一体感 UK編集部が試乗

日産マイクラの兄弟といえるホットハッチ

新しい日産マイクラ(マーチ)の兄弟モデル、ルノー5(サンク)のホットハッチ仕様がアルピーヌA290フィアット500eとアバルト500e、ヒョンデアイオニック5とアイオニック5 Nの違いと近いといえる。いずれも、電動化時代の期待の星だ。

A290のプラットフォームは、5と同じくルノーのAMPRで、前輪駆動。駆動用モーターの最高出力は、180psか220psを選べる。サイズは全長3990mm、全幅1820mm、全高1520mmと、5より僅かに大きい。

アルピーヌA290 GTS(英国仕様)
アルピーヌA290 GTS(英国仕様)

駆動用バッテリーはフロア部分に敷かれ、容量は52kWh。強固なケースで包まれ、ボディ剛性を高めることにも役立っている。機械式のリミテッドスリップ・デフは備わらず、ブレーキ制御。前後の重量配分は57:43で、車重は1500kgを切る。

お値段は、英国のエントリーグレードとなるGTで3万3500ポンド(約653万円)から。試乗車のGTSグレードでは3万7500ポンド(約731万円)と、お安くはない。258psのミニ・ジョン・クーパー・ワークス・エレクトリックに、並ぶ価格帯ではある。

往年のルノー5 ターボを彷彿とさせる見た目

スタイリングは、明らかに往年のルノー5 ターボを彷彿とさせるもの。ボンネットのラインや、サイドのコの字のエアインテーク風プレスなどは、見ていてワクワクさせる。

アルミホイールは、複数のデザインから選べるものの、共通で19インチ。タイヤはミシュランで、パイロットスポーツEVかS5が、グレードによって組み合わされる。技術者がチューニングした操縦性のバランスを、正しく味わって欲しいのだろう。

アルピーヌA290 GTS(英国仕様)
アルピーヌA290 GTS(英国仕様)

その奥で光るブレーキは、前が320mm、リアが288mmのディスク。フロントのキャリパーは、ミドシップ・スポーツのA110と共通だという。

サスペンションの構成は5と変わらず、前がストラット式で、後ろはマルチリンク式。だがスプリングとダンパー、アンチロールバー、油圧バンプストッパーは独自アイテムとなり、前側にはアルミニウム製のサブフレームも組まれる。

高級感に唸らされる内装 0-100km/h計測も可能

インテリアは、5のアップグレード版。試乗車はレザー内装を得るGTSだった。小さなハッチバックでありながら、車内の高級感には唸らされる。随所に散りばめられた、ブルーの差し色が効いている。安っぽい部分は、探さないと見つからない。

ダッシュボード上部には、メーター用とインフォテインメント用が一体の、大きなモニターパネル。システムはグーグルベースで、反応は素早く扱いやすい。

アルピーヌA290 GTS(英国仕様)
アルピーヌA290 GTS(英国仕様)

A290ならではの機能が、0-100km/h加速を図るストップウォッチ。コーナリング・スキルのチュートリアルも、インストールされている。

前席側のシートはゆったり快適。もう少し彫りの深い、バケットシートが良いと感じるドライバーはいるかもしれない。後席側は正直狭め。5ドアだから、乗降性は悪くないが。荷室容量は326Lと同クラスでは広い方で、開口部は大きい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

アルピーヌA290の前後関係

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