ブルートレインへ大勝したベントレー スピードシックス・スポーツマンズ・クーペ(1) EXP 15の着想元

公開 : 2025.08.30 17:45

勝利を称えるブルートレイン・スペシャル

ところが後年、そのベントレーの行方は曖昧になってしまう。今回ご登場願った、ガーニー・ナッティング社製ボディのスピードシックス・スポーツマンズ・クーペが、恐らくそれではないかと長年考えられていた。

2014年時点でのオーナーは、アメリカ・ワシントンに住むマッコウ夫妻。過去には、イベントで英国へ運ばれたこともあったが、確証は掴めていなかったらしい。

ベントレー・スピードシックス・スポーツマンズ・クーペ「ブルートレイン・スペシャル」(1930年式)
ベントレー・スピードシックス・スポーツマンズ・クーペ「ブルートレイン・スペシャル」(1930年式)

そこでマッコウ夫妻は、丁寧な調査を進めた。果たして、HJマリナー社製ボディのスピードシックス・サルーンで、バーナートはフランス縦断のレースをしていたことが明らかになる。クーペの情報は、そこになかった。

レースから2週間後、彼はガーニー・ナッティング社製ボディのスピードシックスを受け取っていた。勝利を称えるつもりで、真新しいクーペへ「ブルートレイン・スペシャル」と名付けていた事実が判明した。

貴重なクーペに乗りロンドンを巡る

マッコウ夫妻は、この歴史を確実なものとするため、HJマリナー社製ボディのスピードシックス・サルーンを捜索し購入。レストアを施した。それでも、ガーニー・ナッティング社製ボディのクーペが放つ魅力が、衰えることはなかった。

確かに、ブルートレインを破ったベントレーではない。とはいえ、推定価値は600万ポンド以上。バーナートが、ブルートレインと名付けたことも間違いない。

ベントレー・スピードシックス・スポーツマンズ・クーペと、同行したベントレー・ミュルザンヌ
ベントレー・スピードシックス・スポーツマンズ・クーペと、同行したベントレー・ミュルザンヌ

今回はご夫妻のご厚意で、貴重なクーペに乗りロンドンを巡るという、またとない機会を設けていただいた。世界最大級で最も古い、ベントレー・ディーラーのジャック・バークレー社を出発し、バーナートが足繁く通った場所を訪ねようと思う。

ゴールはサヴォイ・ホテル。ここのバーは、ウルフ・バーナートという名のカクテルを提供してくれる。

この続きは、スピードシックス・スポーツマンズ・クーペ(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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