まるでチョップドルーフ スピードシックス・スポーツマンズ・クーペ(2) ロンドンでベントレーの聖地巡礼

公開 : 2025.08.30 17:50

アパートへ隠れるように佇む小さな建物

次の目的地は、エリスタン・ストリートにあったコーチビルダー、ガーニー・ナッティング社のワークショップ跡地。ブルートレイン・スペシャルの、クーペボディが生み出された場所だ。立ち並んだアパートへ隠れるように、小さな建物を見つけた。

バークレー・スクエアを抜け、バーナートと友人が集ったモートンズ・クラブへ。さらにベントレーを進め、セント・ジェームズ・ストリートのコンサバティブ・クラブ前へ停車する。次々に通過する観光バスの合間を縫って、記念撮影を済ませた。

ベントレー・スピードシックス・スポーツマンズ・クーペ「ブルートレイン・スペシャル」(1930年式)
ベントレー・スピードシックス・スポーツマンズ・クーペ「ブルートレイン・スペシャル」(1930年式)

実際に走った距離は15kmもないが、サヴォイ・ホテルへ到着した頃には日が傾いていた。ホテル前の混雑を整理する、ドアマンが笑顔で出迎えてくれる。激しい往来の中で、カメラマンが乗るベントレー・ミュルザンヌとの2台分、路肩が空けてある。

ブルートレイン・スペシャルから冷却液が滴り、アスファルトを汚す。ドアマンは笑顔を崩さない。ブガッティ・ヴェイロンが来ても、驚かない彼ららしい。

カクテルは威厳高い2台へ相応しい味わい

夕方でも、サヴォイ・ホテルのバーは驚くほど賑わっていた。バーテンダーが、1930年代から使われているというメニュー、「サヴォイ・カクテルブック」のページを開く。

ウルフ・バーナートにしようと考えていたが、少し迷って、ベントレーに決めた。赤ワインがベースのデュポネと、リンゴで作った蒸留酒のカルバドスを、半分ずつ混ぜたカクテルだ。美味しかったと記したいところだが、不慣れな風味へ少し戸惑った。

ベントレー・スピードシックス・スポーツマンズ・クーペと、同行したベントレー・ミュルザンヌ
ベントレー・スピードシックス・スポーツマンズ・クーペと、同行したベントレー・ミュルザンヌ

それでも、ホテルの前へ停めてある威厳高い2台へ、相応しい味わいだとは思えた。ウルフ・バーナートも、きっとそんな1杯なのだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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