世界を震わせる加速 アストン マーティン・ヴァンキッシュ・ヴォランテ 一際ドラマチック

公開 : 2025.08.25 19:05

しなやかにストローク 落ち着いたステアリング 

ZF社製の8速ATは、キックダウンを少しためらう傾向はあるが、MTモードは痛快。シフトパドルの操作が、即座に伝達される。ブレーキはカーボンセラミックだが、キーキーと鳴くことなく、抜群に強力な制動力が立ち上がる。少しの慣れが必要なほど。

乗り心地は、GTモードで一般的な条件なら、しなやかにストロークし至極快適。スポーツ+モードでは引き締まり、積極的な走りへ備えられる。路面の傷んだグレートブリテン島でも、許容範囲な硬さがうれしい。上下動で腰が痛くなることはないはず。

アストン マーティン・ヴァンキッシュ・ヴォランテ(英国仕様)
アストン マーティンヴァンキッシュ・ヴォランテ(英国仕様)

トラクションコントロールは、10段階に変更可能。アストン マーティンを学習するツールだと、技術者は話していた。

ステアリングはタイトでレスポンシブ。フェラーリ級にクイックではないが、適度な落ち着きがあり扱いやすいと感じる人は多いはず。リアの電子制御リミテッドスリップ・デフは、反応は早いが効きが控えめ。滑らかな操縦性へ貢献している。

魅力を一層ドラマチックに 400台なのが残念

クーペから約1万5000ポンド(約297万円)増しとなる、ヴァンキッシュ・ヴォランテ。インテリアはクーペと変わらず、荷室は狭い。若干の癖もある。富裕層にとっても、高額なモデルであることは間違いないだろう。

しかし、スタイリングは息を呑むほど美しく上品。V12エンジンの味わいも素晴らしい。クーペが宿すすべての魅力が受け継がれ、一層ドラマチックに堪能できる。400台しか作られないなんて、残念でならない。

アストン マーティン・ヴァンキッシュ・ヴォランテ(英国仕様)
アストン マーティン・ヴァンキッシュ・ヴォランテ(英国仕様)

◯:霞まないヴァンキッシュの魅力 路面へ盛大に伝わるパワー感 見惚れる美しいスタイリング
△:アストン マーティンとしても高額 狭い荷室 価格帯として惜しい僅かな弱点

アストン マーティン・ヴァンキッシュ・ヴォランテ(英国仕様)のスペック

英国価格:36万ポンド(約7128万円/予想)
全長:4855mm
全幅:1980mm
全高:1297mm
最高速度:344km/h
0-100km/h加速:3.4秒
燃費:8.9km/L(予想)
CO2排出量:312g/km
車両重量:2005kg
パワートレイン:V型12気筒5203cc ツインターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:835ps/6500rpm
最大トルク:101.8kg-m/2500-5000rpm
ギアボックス:8速オートマティック(後輪駆動)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    役職:デジタル編集者
    10年以上ジャーナリストとして活動し、雑誌、新聞、ウェブサイトに寄稿してきた。現在はオンライン版AUTOCARの編集者を務めている。オースチンやフェラーリなど、1万円から1億円まで多数のクルマをレビューしてきた。F1のスター選手へのインタビュー経験もある。これまで運転した中で最高のクルマは、学生時代に買った初代マツダMX-5(ロードスター)。巨大なジャガーXJ220も大好き。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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