【ドライバーは佐藤琢磨、マシンは2台の初代シビックRS】ホンダ学園の学生たちがラリー・モンテカルロ・ヒストリック挑戦!

公開 : 2025.08.12 11:45

ホンダ学園は2026年の創立50周年を記念したチャレンジの第一弾として、同年2月に欧州で開催される『第28回ラリー・モンテカルロ・ヒストリック』への出場を決定しました。佐藤琢磨選手がドライブを担当します。篠原政明の発表会レポートです。

レストアから現地の対応まで全てを学生が担当

8月7日、ホンダ学園は2026年に創立50周年を迎えることを記念したチャレンジの第一弾として、同年2月に欧州で開催される『第28回ラリー・モンテカルロ・ヒストリック』(以下、RMH)への出場を決定した。

ホンダ学園とは、1976年に創業者であり初代校長を務めた本田宗一郎の『技術だけでなく、世界に歓迎される人間を作りたい』という志のもとに創設された専修学校だ。

アンバサダー兼ドライバーとして佐藤琢磨選手が参加。学生たちとともに挑戦する。
アンバサダー兼ドライバーとして佐藤琢磨選手が参加。学生たちとともに挑戦する。    篠原政明

技術力と人間力を兼ね備えた人材の育成を目指して、現在はホンダ・テクニカルカレッジ関東、関西の2拠点体制のもと、50年にわたり実践を重視した教育と挑戦する姿勢を軸に人づくりに取り組んでいる。

今回、創立50周年の集大成を見せるには「ホンダの学校なのだから、ホンダのモビリティで世界へ挑戦したい」という思いから、このRMHへのチャレンジが決定した。

このチャレンジには、ホンダ学園の一級自動車研究開発学科3年生を中心とした、約30名の学生が有志で参画。参戦車両はホンダで唯一RMH出場資格のある、初代ホンダ・シビックが選ばれた。

まずはレストアのため整備、部品調達を行い、その後は車検を取得し国際ナンバーも取得。RMHに参戦するための書類申請や海外輸送の手続き、さらにはホテルの予約をはじめとする欧州現地での運営支援やナビゲーター対応までを学生たちが担う。

そして、アンバサダー兼ドライバーとしてレーシングドライバーの佐藤琢磨選手が参加。学生たちとともに、このRMHに挑戦する。

参戦車両はスクラップからレストア

参戦車両は初代ホンダ・シビック 1200RS(SB1)。初代シビックは1972年に発売され、1200RSは2年後の1974年に発売された。RSとは『ロード・セーリング』の略で、ハイウエイクルージングを意識したグレードだ。

1.2Lエンジンはケイヒン製CVキャブレターが2連装され、スペックは76ps/10.3kg-mとさしてパワフルではないが、シビック初の5速MTを組み合わせ、シャープなアクセルレスポンスで6500rpmまでストレスなく回り、ホンダ・スポーツのDNAを感じさせるモデルだった。

ほとんどスクラップに近い状態から学生たちの手でレストア。完成を目指す。
ほとんどスクラップに近い状態から学生たちの手でレストア。完成を目指す。    篠原政明

年式は2台とも1975年式。車両の入手経路に関しては詳細は明らかにされていないが、個人所有や中古車店などから探したようだ。しかし、ベース車と言うにはほど遠いほとんどスクラップに近い状態で、これを学生たちはバラバラに分解し、ビス1本までフルレストアを行う。

ボディには予想以上にサビや腐食による穴があり、これを板金修理して塗装する。エンジンもポート研磨し、配線もイチからやり直す。ラリーコンピュータのプログラミングも、東京大学で教わりながら自分たちで行った。

こうして、2台のラリーマシン、1号車『サンセット号』と2号車『マドリード号』のレストアが進んでいる。車名はボディカラーのサンセットオレンジとマドリードレッドに由来する。現段階ではボディはドンガラ状態だが、いずれも9月までにはレストア作業を完了し、車検を取得する予定だ。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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