喜ばしい必然 BMW M3 CSツーリング(1) 実戦で活躍の万能ワゴン ハードの違いを確認
公開 : 2025.08.12 19:05
カーボン製ボンネットにゴールド・ホイール、+20psと専用サスで強化されたM3 ツーリング 走りの印象はサルーンへ肉薄 段違いのグリップ力 カーブでの安定感 万能選手へUK編集部が試乗
喜ばしい必然 超高効率な万能選手
BMW M3 CSツーリングの登場は、喜ばしい必然といえた。サルーンのM3とクーペのM4には、シリアスなコンペティション・スポーツ仕様、CSが設定されていたからだ。
サーキットを前提としたステーションワゴンは、非常に珍しい。ルーフラインが伸びることで増える車重は、パフォーマンスに貢献しないからだろう。メルセデスAMGも、ブラックシリーズは設定していない。ボルボ850 BTCCという、例外はあっても。

それでも高速なステーションワゴンは、理想的な存在かもしれない。そもそも、現行のM3は軽いわけではなく、四輪駆動の場合は1780kgもある。M3 ツーリングは85kg重いが、体格の良い大人1人分と考えられなくもない。
大きな荷室には、4本のタイヤとジャッキが余裕で載る。レースイベントのサポート車両として活躍できるが、直列6気筒ツインターボで550psのワゴンは、コース上の実戦でも活躍できる。万能選手とは、まさにこの事だろう。
ボンネットはカーボン ホイールはダークゴールド
M3 ツーリングの「CS」として、見た目はしっかり差別化されている。カーボンファイバー製のボンネットやカナード、ダークゴールド仕上げのアルミホイールで武装。車重は、通常より15kg軽い。
フェンダーラインが力強くフレアし、試乗車のブリティッシュ・レーシンググリーン塗装は、専用ホイールと調和する。賛否両論のキドニーグリルは、見慣れてきた感がある。

タイヤは、ミシュラン・パイロットスポーツ4SかピレリPゼロが標準。トラック(サーキット)用として、パイロットスポーツ・カップ2かPゼロ・コルサも選べる。
本気でタイムを削りたい向きは、パイロットスポーツ・カップ2 RかPゼロ・トロフェオRSも指定できる。すべて公道走行可能だが、せっかく広い荷室があるのだから、場面に応じて履き替えるのも悪くない。
運転の充足度へ貢献するシフトレバー
インテリアでは、センターコンソールが軽量・簡素なカーボン製へ置換される。アームレストと小物入れは備わらない。シートは、シェルがカーボン製のバケットが標準。着座位置が低いものの、パッドが薄く、横方向のサポート性と快適性はいまひとつかも。
通常の3シリーズと異なり、シフトセレクターはスイッチではなく、立派なレバーが突き出ている。これが、運転する充足度へ貢献している。派手なドリフト中に、マニュアルモードへ切り替えるのも簡単だ。

車内での、通常のM3 ツーリングとの違いはその程度。M4 CSLと異なり、リアシートはちゃんと残っているから、実用性も失っていない。そもそも、リアシートのないステーションワゴンなど無意味だろう。
背もたれは望んだ角度へ倒せ、運転姿勢は理想的。インフォテインメント・システムにはロータリーコントローラーがあり、操作性に優れる。ユーザーインターフェイスは、2022年の3シリーズと同等だとしても。





































































































































