【現役デザイナーの眼:フォルクスワーゲンID.バズ】初代ゴルフに通ずるデザイン!EVだからこそ実現したプロポーション

公開 : 2025.08.13 12:05

EVは名車をオマージュしたデザインが流行

インテリアは、よく出来た乗用ミニバンを見慣れた日本人から見ると質感にこだわって欲しかったのが本音でしょうが、広大なガラスルーフで明るい室内にいると家族はそれだけで満足すると思います。

それ以外に気になるとすれば、ヘッドライトをタイプ2のように丸目にしていないところでしょうか。ここはレトロになりすぎないようにという判断だと思いますが、トヨタランドクルーザー250みたいに、ライトが2パターンあっても良いかもしれません。

ロングホイールベース仕様の室内。広くて明るい雰囲気だ。
ロングホイールベース仕様の室内。広くて明るい雰囲気だ。    フォルクスワーゲン・ジャパン

EVデザインの動向を見ると、特にヨーロッパでは過去の名車をオマージュするムーブが起こっていると言えます。日本に来ていないクルマが多いですが、例えばルノーなら往年の名車である『サンク』や『キャトル』、フィアットではジウジアーロの傑作のひとつ、初代『パンダ』も蘇りました(編集部注:グランデパンダは2026年導入予定)。

日本車でも、すでに販売終了した『ホンダe』や最近発表された『N-ONE e:』も同様です。このように各社で広がりを見せている要因としては、過去のデザインが魅力的だから、ということに尽きます。それを高額になるEVの付加価値として活用しているのでしょう。

今よりもっとシンプルにクリエーションが出来ていた時代のデザインは、メッセージが明快なので、現代でも十分伝わりやすいデザインと言えそうです。

現代のクルマのデザインは魅力ないと感じる方も多いと思いますが、それは現代のクルマは設計的制約が昔に比べて格段に多いことの他に、前述のとおり、市場要望を織り込んでいくモデルチェンジの手法も要因のひとつでしょう。

その結果、モデルチェンジを繰り返すうちに初代の志が薄くなることが多いようです。フォルクスワーゲンもまさにこのようなサイクルで、質実剛健から離れていったのだと感じますが、ID.バズのようにシンプルだけどイイもの感がある『フォルクスワーゲンらしい』デザインが増えることを期待したいです。

記事に関わった人々

  • 執筆

    渕野健太郎

    Kentaro Fuchino

    プロダクトデザイナー兼カーデザインジャーナリスト。福岡県出身。日本大学芸術学部卒業後、富士重工業株式会社(現、株式会社SUBARU)にカーデザイナーとして入社。約20年の間に様々な車をデザインする中で、車と社会との関わりをより意識するようになる。主観的になりがちなカーデザインを分かりやすく解説、時には問題定義、さらにはデザイン提案まで行うマルチプレイヤーを目指している。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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