経済成長を支える「鉄の箱」 フォード・トランジット Mk1からMk3(1) 銀行強盗も重宝?

公開 : 2025.09.06 17:45

95%の銀行強盗でも活きた優れた能力

スライドドアを閉じていても風切り音は小さくなく、ボディはきしむ。スピード感は実際以上に高い。現代の基準では間違いなく遅い部類だが、実用性と走行性能のバランスは、その頃では他に類を見ないものだった。

おかげで、悪者にも愛用された。ロンドン警視庁の担当者は、「銀行強盗の95%で、トランジットが利用されています」。と1970年代前半に発表している。1.75tまで荷物を運べ、乗用車へ近い速さで走れる実力は、逃走車にも理想的だったのだろう。

フォード・トランジット Mk1(1965〜1977年/英国仕様)
フォード・トランジット Mk1(1965〜1977年/英国仕様)    ジョン・ブラッドショー(John Bradshaw)

また、キャンピングカーにも派生。キャビン部分だけを残した、トラック仕様も作られた。数え切れないバリエーションが生まれ、仕事の相棒としてだけでなく、休日を楽しむ道具としても市民へ浸透していった。

若手バンドの全国ツアーでも活躍している。ザ・トレメローズは、1965年式でコンサート会場を回った。かくして、1976年には100万台目をラインオフ。欧州では、四角いバンの総称がトランジットだったほど。オフローダーを、ジープと呼んだように。

執筆:トリニティ・フランシス(Trinity Francis)

この続きは、フォード・トランジット Mk1からMk3(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 撮影

    ジョン・ブラッドショー

    John Bradshaw

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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