【奥山清行氏の水素燃料自動車プロジェクト】スポーツカーを100年遺す人類のロマン!F61Hバードケージ初披露目

公開 : 2025.09.06 12:05

9月1日、デザイナー奥山清行氏率いる『Ken Okuyama Cars』はワンオフカー『F61Hバードケージ』の日本先行プレビューを袖ヶ浦フォレストレースウェイにて開催しました。同社の水素燃料自動車プロジェクト初お披露目となります。

奥山氏が自らステアリングを握りデモ走行

9月1日、デザイナー奥山清行氏が率いる『Ken Okuyama Cars』(以下KOC) はワンオフカー『F61Hバードケージ』の日本先行プレビューを袖ヶ浦フォレストレースウェイにて開催した。

こちらはKOCがこれまで進めてきた水素燃料自動車プロジェクト初お披露目となり、奥山氏が自らステアリングを握りデモ走行も行った。

デザイナー奥山清行氏率いるKen Okuyama CarsがF61Hバードケージを初お披露目。
デザイナー奥山清行氏率いるKen Okuyama CarsがF61Hバードケージを初お披露目。    平井大介

今年12月にはコラボレーション企業である『ファスト』と共に、F1アブダビGPが開催される期間に現地でワールドプレミアを行う予定で、今回はそれに先駆けたプレビューとなる。ファストはドバイをベースに、自動車の水素化プロジェクトを世界規模で進める投資会社だ。

F61Hバードケージは、公道走行が可能な水素燃料エンジンを搭載するハイパフォーマンススポーツカープロジェクトを具現化したもので、このカテゴリーでは世界初となるという。

ベースはKOCの最新ワンオフモデルである『コード61バードケージ』。同車はV型12気筒ガソリンエンジンをフロントに搭載する、2シーターバルケッタボディを持つスポーツカーで、コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステやペブルビーチコンクールデレガンスにもノミネート。既に顧客へのデリバリーが進んでいる。

F61Hは圧縮水素を燃料とし、後付けの12気筒独立電子制御水素燃料噴射システム(インジェクター)を採用した水素燃料自動車だ。『イタリア製』V12エンジンをベースに、パートナー企業の『フラットフィールド』と共に開発。リアに水素燃料タンクが装着され、標準的な水素ステーションにて燃料充填が可能だ。

ちなみにフラットフィールドは、環境対策をベースとして、水素エンジンを始めとして多様なエネルギーソースの活用を進めるエンジニアリング開発会社となる。

スポーツカーの未来に対する危惧

この日のお披露目にあたり奥山氏は、スポーツカーの未来に対する危惧を明かした。

電気自動車への移行も大事なことであると前提したうえで、バッテリーの寿命は10年ほどだが、扱うメーカーがなくなれば、極端な話そのクルマは10年しか使用できない。つまり、100年受け継がれる名車にはなりえないわけだ。

圧縮水素を燃料とし、後付けの12気筒独立電子制御水素燃料噴射システム(インジェクター)を採用する。
圧縮水素を燃料とし、後付けの12気筒独立電子制御水素燃料噴射システム(インジェクター)を採用する。    平井大介

しかし現実問題として、そういった次世代に遺したい文化遺産(=スーパーカーやスポーツカー)を維持できる富裕層は社会的な地位もあり、サスティナビリティも求められる。そういった中で注目したのが水素だ。

奥山氏が強調したのは、内燃機関エンジンをベースに水素を燃料とする車両にコンバートすることが、50名ほどの中小企業(=KOC)でも実現できたこと。しかもKOCでゼロからやったわけではなく、ボルグワーナーのインジェクターを使用し、水素のラインを追加。マネージメントシステムはモーテックを組み合わせた。つまり必要なのはノウハウだけで、誰でもできることなのだ。

水素の話になるとインフラの問題などで実現が難しい……となりがちで、事実、日本は先進国の中でも水素の運搬に関して特に基準が厳しいという。それは理解した上で「鶏が先か、卵が先か」(奥山氏)ということで「まずは見てもらいたい」、ひとつの社会的提案が最大の狙いとなる。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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