EVのようにシームレス BYDシール 6 DM-i(2) 検討価値アリ 多くの競合が視野に

公開 : 2025.09.17 19:10

電動サルーンのシールとは別物のシール 6 DM-i ホンダへ近いハイブリッド サイズはパサート級 極めて滑らかなパワートレインが強み 薄味な前輪駆動らしい操縦性 UK編集部が試乗

極めて滑らかなパワートレインが強み

BYDシール 6 DM-i最大の強みといえるのが、極めて滑らかなパワートレイン。駆動用モーターは196psとたくましく、EVモードでもパワー不足は感じない。基本的に1.5L 4気筒エンジンは発電に徹し、電気自動車のようにシームレスに加速する。

アクセルペダルを踏み込むと、エンジンもフロントタイヤを駆動し始めるが、動作は自然。この状態でも滑らかで、ノイズは殆ど聞こえない。駆動用バッテリーを充電するため、走行と関係なくエンジンが回転していても、殆ど気にならないはず。

BYDシール 6 DM-i ツーリング・コンフォートライト(欧州仕様)
BYDシール 6 DM-i ツーリング・コンフォートライト(欧州仕様)

駆動用バッテリーの充電が切れても、動力性能へ目立った陰りがないことも特長。自然吸気エンジンの熱効率は43%が主張され、驚くほど高効率でもある。

回生ブレーキが備わり、アクセルペダルを緩めると自然に減速。ブレーキペダルを踏むと、漸進的に制動力が立ち上がる。モニターによれば、最大50kWで発電できる様子。

薄味な前輪駆動モデルらしい操縦性

操縦性は、薄味な前輪駆動の典型といえる。ステアリングホイールは軽く回せるものの、手応えが薄く、気張るとアンダーステア傾向が顕になる。扱いにくい訳ではないが。

濡れたアスファルトで活発な加速を求めると、コンチネンタル・エココンタクト・タイヤはホイールスピン。トラクション・コントロールが、遅れ気味に介入する。

BYDシール 6 DM-i ツーリング・コンフォートライト(欧州仕様)
BYDシール 6 DM-i ツーリング・コンフォートライト(欧州仕様)

乗り心地はBYDらしいもの。市街地では若干の硬さを感じる一方、高速道路ではフワフワと安定しにくい。不快なほどではないが、上質さを醸し出すものではないだろう。

車線維持支援と制限速度警告の機能は、比較的簡単にオフにでき、働き自体も悪くはなかった。他方、ドライバー監視機能は少し過剰に反応するようだ。

電気だけで99km ライバルより大幅に安価?

駆動用バッテリーは、プラグイン・ハイブリッドとしては大きい18.0kWh。電気だけで走れる距離は99kmがうたわれ、走行時のCO2の排出量は38g/kmに留まる。

試乗は短距離で、実際の燃費を測るには充分といえなかったが、駆動用バッテリーの充電が切れた状態でも17.7km/Lが表示されていた。数字を信じるなら、優秀といえる。

BYDシール 6 DM-i ツーリング・コンフォートライト(欧州仕様)
BYDシール 6 DM-i ツーリング・コンフォートライト(欧州仕様)

英国価格はまだ決まっていないが、サルーンで3万3000ポンド(約653万円)、ステーションワゴンで3万6000ポンド(約712万円)からになる見込み。同等装備のシュコダ・スパーブより、1万ポンド(約198万円)以上も安くなりそうだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

BYDシール 6 DM-iの前後関係

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