【第12回】サイトウサトシのタイヤノハナシ~あの点の名は、ユニフォーミティポイント~

公開 : 2025.09.17 17:05

ユニフォーミティが上がるとインプレしにくい?

タイヤを新たに組むとき、なにやらワックスか、せっけんのようなものをビード部やホイールリムに塗っているのを見たことがあると思います。これはビードクリームと呼ばれるもので、タイヤを組みつけるときに滑りを良くし、エアを充填した時にビードの上り(嵌合)を良くするものです。油分はないので、使用後は自然に乾燥し、エア漏れを防ぎ、ビードとホイールの密着性を高めます。

ただ、組んだばかりだと、強い加速やブレーキでタイヤがリムを滑って回ってしまう恐れがあるので、タイヤ組み立て直後の急発進急加速は厳禁です。ビードとリムが馴染むまで、『慣らし』のつもりでちょっと丁寧に走ってやるようにしています。

タイヤ組み立て直後は、『慣らし』が必要です。
タイヤ組み立て直後は、『慣らし』が必要です。    斎藤聡

この時、軽点やユニフォーミティポイントに合わせてタイヤが組んであると、ズレが起きていないかどうかをチェックする目安になるわけです。

で、冒頭の話に戻ると、ユニフォーミティ修正をしてくれたタイヤですが、タイヤってユニフォーミティが上がるほど、気配というか個性がなくなるんです。

インプレを取ろうとクルマを走らせていても、遠くの方でタイヤがスルスルとバランスよく回っているような感覚があって、印象が薄くなってしまうんです。

もちろんハンドルを切り出した時の応答はそのタイヤの特徴が感じられなくはないのですが、インプレッションが取り難くて苦労したのを思い出しました。

ユニフォーミティをきっちり整えたタイヤの、気配がなくなるほど自然でクルマの動きに一体化したドライブフィールに感心した一方で、ユニフォーミティのほんの少しの狂いというか、ずれというのは案外タイヤの存在感を出してくれるものなんだなあと、妙なことに感心したのでした。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    斎藤聡

    1961年生まれ。学生時代に自動車雑誌アルバイト漬けの毎日を過ごしたのち、自動車雑誌編集部を経てモータージャーナリストとして独立。クルマを操ることの面白さを知り、以来研鑽の日々。守備範囲はEVから1000馬力オバーのチューニングカーまで。クルマを走らせるうちにタイヤの重要性を痛感。積極的にタイヤの試乗を行っている。その一方、某メーカー系ドライビングスクールインストラクターとしての経験は都合30年ほど。

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