ACエース譲りの俊敏さ シェルビー・コブラ 289 MkII(2) 補機ベルトにタイヤもオリジナル
公開 : 2025.10.18 17:50
走行距離2万4890kmのスレンダーなコブラ 289 アメリカ縦断の旅へ出た初代オーナー 21世紀まで空調の効いたガレージで保管 ACエースの俊敏さは失わず UK編集部が貴重な1台へ試乗
もくじ
ーレザーシートもタイヤもオリジナル
ー頼もしくトルクフルな4.7L V8エンジン
ーACエースが秘めた俊敏性は失わず
ーシェルビーの工場を旅立った姿がそのまま
ーシェルビー・コブラ 289 MkII(1962〜1964年/北米仕様)のスペック
レザーシートもタイヤもオリジナル
シェルビー・「リンダウアー」・コブラ 289 MkIIのドアを開く。ステアリングホイールは3スポークでカッコいい。古びたレザーシートが、趣きある風合いを漂わせる。
ダッシュボードには、文字盤が黄ばんだスチュワート・ワーナー社製のメーター。運転する筆者にはうれしくないが、グッドイヤーのタイヤもオリジナルだという。それが1964年製なのか2010年製なのか、刻印で確かめるのは忘れてしまったが。

スターターを回すと、4バレルのホーリーキャブレターが載ったスモールブロック・エンジンは難なく始動。2017年のオークション以来、走行距離は殆ど伸びていない。今回の取材が、最も長く走らせることになるそうだ。
タペットが、メカニカルなノイズを放つ。バンクからバンクへ、爆発が次々に推移する様子がわかる。右足を軽く傾けると、即座にクロスプレーン・クランクらしい轟音。ボディが軽く震える。
頼もしくトルクフルな4.7L V8エンジン
新しくないタイヤを考え、優しく発進して様子を探る。クラッチペダルは重い。交差点を曲がると、リミテッドスリップ・デフがロックしガタガタとリアアクスルが鳴る。MkIIだから、リジッドにリーフスプリングの組み合わせだ。
ステアリングラックは、現代的なラック&ピニオン式。シャシー剛性は高いが、タイヤがアスファルトの穴へ落ちると、クラシックカーらしくボディは揺れる。グレートブリテン島の傷んだ路面では、しなやかなコイルスプリングが欲しくなるだろう。

とはいえ、このコブラ 289 MkIIで気になる点はその程度。シフトレバーの動きは、唸るほど正確で短い。変速時にギアの回転数を調整するシンクロも、しっかり機能する。
補機ベルトやウォーターポンプまで当時のままだという4.7L V8エンジンは、頼もしくトルクフル。タイトなカーブを除いて、3速以下を選ぶ必要性は低い。ロケットダッシュがご希望なら、積極的なギアの選択もいとわない。
ACエースが秘めた俊敏性は失わず
最高出力は274ps。現代の水準では驚く数字ではないものの、車重は953kgと軽い。現役時代は、0-100km/h加速を5.5秒で処理した。最高速度は、同時期のジャガーEタイプやイタリア製スポーツに届かなかったとしても。
1965年のAUTOCARは、0-400mタイムを計測し、13.9秒を記録した。「殆どの道で問題になるのは、対向車の隙間を縫って追い越すことではありません。自分の速さを把握して、再び車線へ戻ることです」。と動力性能の高さへ触れてもいる。

パワー感は、一般道で理想的。免許が剥奪されない範囲で、存分に振り回せる。古いタイヤの影響か、ヘアピンではテールが簡単に流れ出すが、挙動は予想しやすい。前後の重量配分は48.7:51.3と、FRの2シーターとしては偉業と呼べるバランスにある。
ポルシェ911と違い、リアにカウンターウエイトは載っていない。穏やかなパワー・オーバーステアを楽しめる。ベースのACエースが秘めた、俊敏な個性を失っていない。






































































































