日産サクラへUK編集部が乗ってみた 2024年の日本で最多売EV 理想的なソリューション

公開 : 2025.04.23 19:05

2024年に日本で最も売れたEV、日産サクラ 都心部の移動に理想的なソリューション 信じられないほどカッコよく映る箱型ボディ 小柄でお手頃な電動モデルの可能性 UK編集部が試乗

都心部の移動に理想的なソリューション

東京の南、横浜にある日産のグローバル本社を出発してすぐ、人気アニメ「アンパンマン」ミュージアムの前を通り過ぎた。入口には、丸いキャラクターの像が立っていた。自分が運転している軽自動車の方が可愛いかも、と筆者は微笑む。

ステアリングホイールを握っているのは、日産サクラ。軽自動車は日本ではメジャーなカテゴリーだが、海外へは基本的に輸出されていない。世界中の少なくない人々から、羨ましがられているのに。

日産サクラ
日産サクラ

電気で走るお手頃な軽自動車は、混雑した都心部の移動に理想的なソリューションであることは、クルマへ詳しくない人でも理解できるはず。ルノー・グループのルカ・デ・メオCEOは、これへ相当するような新カテゴリーの創設を、欧州で提案している。

経済成長が進む1950年代に、自動車産業の活性化を目的に設けられたのが、日本の軽自動車だ。ボディサイズや最高出力には制限があり、全長は3400mm以下、全幅が1480mm以下で、最高出力もメーカー間の自主規制により64ps以下と決められている。

2024年に日本で最も売れたバッテリーEV

小さなクルマは、利益を得ることが難しい。上記の規格もあって、軽自動車の市場は日本メーカーの独占状態にある。

サクラの現地価格は約250万円からと、バッテリーEVとしてはお手頃。生産されているのは、日産と三菱の合弁会社、NMKV社の工場。もちろん三菱も、サクラの兄弟モデルに当たる、eKクロス EVを擁している。

日産サクラ
日産サクラ

価格が安いだけでなく税金面でも優遇されており、日本では自動車販売数の約25%を軽自動車が占めているという。そしてサクラは、同国で2024年に最も売れたバッテリーEVだった。

発売は2022年。駆動用バッテリーの容量は20kWhで、64psを発揮する駆動用モーターが、フロントに載っている。車重は1080kgあり、航続距離は180kmが主張される。最高速度は130km/hだ。

4シーターとして使える車内空間があり、最小回転半径は4.8mと小回りが効き、荷室容量は107L。シティカーとして、実用性も低くない。

信じられないほどカッコよく映る箱型ボディ

ボディは箱型で、アルミホイールは14インチ。限られた寸法を有効活用するため、そもそも軽自動車は四角い形が多い。スタイリングは、英国人の筆者の目には、信じられないほどカッコよく映る。

インテリアデザインは、スッキリ上品。フロントシートは、ほぼベンチシートといえるが、肘掛けも用意されている。ダッシュボードのレイアウトも考えられており、アップル・カープレイへ対応した液晶モニターも付いている。

日産サクラ
日産サクラ

安価なモデルではあるが、運転支援システムもちゃんと備わる。シトロエン・アミのように、装備を削った簡素なクルマ、という印象はない。

発進させてみると、瞬間的にトルクが発生。パワーデリバリーは滑らかで、加速は軽快だ。レスポンスも良く、ミニのように積極的に走り回れる。ホイールベースは短いが、速度抑止用のスピードバンプを超えても、不安定になることはなかった。

ドライブモードも選べる。スポーツ・モードへ切り替えても、スポーティさが増すようには思えなかったが。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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