【タイヤ解析の達人がマレーシアで吟味】第5世代P ZEROが登場!ウルトラハイパフォーマンスカーがピレリを選ぶ理由とは?

公開 : 2025.10.27 11:45

接地面の広さでグリップの強さを作り出す印象

試乗はセパン・インターナショナルサーキットとクアラルンプール周辺の一般道で行われた。

サーキットでは、BMW 530にP ZERO5を前245/40R19、後275/35ZR19の組み合わせで試乗。

サーキットでは、BMW 530にP ZERO5を前245/40R19、後275/35ZR19の組み合わせで試乗。
サーキットでは、BMW 530にP ZERO5を前245/40R19、後275/35ZR19の組み合わせで試乗。
    ピレリ

印象は、適度に鋭さがあり、応答の正確度が高くて、グリップレベルも高く、かつ静かで乗り心地が良い。そのマッチングの良さは、OEM設定の星付きかと思えるほど自然なドライブ感覚だった。

興味深く感じたのは、グリップレベルは高いけれど、過剰なグリップ感、特に粘着グリップ感がそれほど強くなく、接地面の広さでグリップの強さを作り出しているような印象があるところ。

これはシリカの配合割合の高いコンパウンドのタイヤに見られる乗り味で、あるいはP ZERO5もそうした構成になっているのかもしれない。

グリップの限界領域まで追い込んでいった場面でも、滑り出しは穏やか。100km/hほどの中速コーナーにアクセルオフで飛び込んでいったときもスライドの始まりがわかりやすく、路面にこすれるように強めの摩擦感を残しながらスライドする。そのため、アクセルを合わせてスライドコントロールするのも難しくなかった。

サーキットスピードでも、十分に不満のないグリップレベルを持っており、コントロール性の良さも備えていた。

滑らかにタイヤが回り、静かで、乗り心地がいい

一般道では、メルセデス・ベンツGLE450に275/45R21(純正サイズ)の組み合わせで試乗した。

興味深く感じたのは、車種も、タイヤサイズも、走るステージも違うのに、乗り味やテイストのようなものが共通していること。滑らかにタイヤが回り、静かで、乗り心地がいいのだ。

一般道では、メルセデス・ベンツGLE450に275/45R21(純正サイズ)の組み合わせで試乗。
一般道では、メルセデス・ベンツGLE450に275/45R21(純正サイズ)の組み合わせで試乗。    ピレリ

ソフトというわけではないが、路面への当たり方にしなやかさがあり、ゴツゴツ尖った硬さをドライバーに伝えない。

身のこなしは軽快なのに、カーブでは強いグリップ感からくる安心感、安定感がある。高速道路でのノイズも少なく、快適なドライブが楽しめた。

ハイグリップ系スポーツタイヤ『P ZERO R』

P ZERO Rはセパン・インターナショナルサーキットで試乗した。試乗車はポルシェ911GTSハイブリッド・カレラ4。タイヤサイズは前245/35ZR20、後305/30ZR21だ。

P ZERO Rは、サーキット走行を視野に入れた、スポーツカーやハイパフォーマンスSUV向けのハイグリップ系スポーツタイヤ。ピレリ独自のレジン配合技術によって広い温度域でグリップ性能を発揮する。

P ZERO Rを装着した試乗車のポルシェ911GTSハイブリッド・カレラ4。
P ZERO Rを装着した試乗車のポルシェ911GTSハイブリッド・カレラ4。    ピレリ

また、ストリッププロセスという製造工程によってトレッドコンパウンドの組み合わせの自由度を広くすることで、様々なハイパフォーマンスカーとベストマッチングを作り出している。

ポルシェ純正採用を示すNコード付きで、マッチングの良さに文句のつけようはないが、タイヤのパフォーマンスにフォーカスして印象を拾い上げてみると、印象的なのはそのグリップ性能だ。

システム出力541ps/610Nmを発揮するモデルではあるが、そのパワーとトルクを全く持て余さない。コーナーの立ち上がりでアクセルを全開にしても、強力なコンパウンドグリップが路面をとらえ、豪快に加速してくれる。同時に軽快さというか、身のこなしの軽さも備えているのだ。

別のタイミングで同じ911カレラ4GTS+P ZERO Rをウエットハンドリング路で走らせる機会があったのだが、グリップの安定感は特筆もの。これだけのドライグリップパフォーマンスを備えながら、ウエットでもコンパウンドが必要以上に柔軟性を失うことがなく、路面をしっかりホイールドするのを感じられた。

このフレキシビリティは大いに魅力的だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    斎藤聡

    1961年生まれ。学生時代に自動車雑誌アルバイト漬けの毎日を過ごしたのち、自動車雑誌編集部を経てモータージャーナリストとして独立。クルマを操ることの面白さを知り、以来研鑽の日々。守備範囲はEVから1000馬力オバーのチューニングカーまで。クルマを走らせるうちにタイヤの重要性を痛感。積極的にタイヤの試乗を行っている。その一方、某メーカー系ドライビングスクールインストラクターとしての経験は都合30年ほど。

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