【トヨタ・カローラ・セダン・コンセプト】2026年で60周年!デザイナーに聞く、あえてセダンで挑戦する意味 #JMS2025

公開 : 2025.11.07 11:45

トヨタはジャパンモビリティショー2025に『カローラ・コンセプト』を出展。あえてセダンにトライする意図やデザインの特徴を、内田俊一が担当デザイナー氏に聞きます。2026年で60周年を迎えるカローラの行方に注目です。

セダンだから挑戦できる

トヨタ自動車はジャパンモビリティショー2025に『カローラ・コンセプト』を出展。あえてセダン市場にトライする意図や、そのデザインの特徴について担当デザイナー氏に話を聞いた。

かなり大胆なデザインをまとったカローラコンセプト。なぜここまでチャレンジできたのか。担当デザイナーはこう思いを語る。

トヨタ・カローラ・コンセプト
トヨタ・カローラ・コンセプト    上野和秀

「今カローラ・セダンは挑戦できるタイミングにあります。なぜならカローラ・ブランド全体で、カローラ・クロスがしっかりと販売台数を支えているからです。そうするとセダンは少し冒険してもいいでしょう。今回はコンセプトなので、いろんなご意見をいただきながら、これがいい方向なのかどうかを探りたい」

エクステリアの特徴を聞いた。

「フードが非常に低く、カウル(ボンネット後端とフロントウインドウ下端あたり)も低くて前に出ています。さらにフロントウインドウもかなり傾斜させたことで、ノーズからリアまでワンモーションのシルエットにしました。そうすることで低重心でワイドアンドローという、まさにBEVでできるシルエットにしたうえで、いろいろなユニットで実現させていくという狙いを持っています」

また、前席あたりのベルトラインがキックダウンしてさがっているのも特徴だ。

「低重心に見せる効果とともに、『マックスビジョン』と呼ばれる視界の良さの一例です。自動車メーカーが作る安心安全の室内として、見やすさ、視界の追求しています。今まで見えていなかったところまで見えるという、安心感と運転のしやすさを提供しています」

全席それぞれの価値を提供

インテリアではその視界の良さとともに、空間の広さも追及。「カウルも下がっていますので、インパネ自体もかなり低く前に出しています」と話す。

そして運転席、助手席、後部座席それぞれに異なる最適の価値を提供したいという狙いもある。

トヨタ・カローラ・コンセプト
トヨタ・カローラ・コンセプト    上野和秀

「ドライバーが運転に集中できる空間として、ドライビングモジュールを備えたコクピットを採用しました。助手席は解放感のある広さと、助手席前に専用ディスプレイがあり、シートはヘッドレストにスピーカーを内蔵していますので、エンターテイメントを楽しめます。まさに助手席専用の快適な空間を提供しています」

後部座席は「囲まれた空間の中でラウンジのようなくつろげる空間を提供しています」として、室内全体として「温かみのある先進感を表現しています。落ち着く空間でありながら、さりげなく先進感やテックな部分も入っているというバランスを取りました」とのこと。

1966年発売ということで来年60周年を迎えるカローラは、時代ごとの変化などに寄り添い進化してきた。果たして将来を見据えたカローラ・コンセプトがどう捉えられるのか、興味深く見守りたい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    内田俊一

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 撮影

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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