【連載:清水草一の自動車ラスト・ロマン】#22 ガソリン満タン90リッター!?

公開 : 2025.11.07 12:05

自動車はロマンだ! モータージャーナリストであり大乗フェラーリ教開祖の顔を持つ清水草一が『最後の自動車ロマン』をテーマに執筆する、隔週金曜日掲載の連載です。第22回は『ガソリン満タン90リッター!?』を語ります。

やるじゃん大貴族号!

大貴族号(筆者が所有する先代マセラティクアトロポルテ)は北に向かう。どこまでもどこまでも。そして、秋田県に入ったあたり(距離にして約640km)で、燃料計の残量が約2割になり、警告灯が点いた。そろそろ入れておかなくては。

先代クアトロポルテは燃費が悪い。車両重量約2トン+高回転高出力型の4.2リッターV8エンジンなのだから当然だ。街中ではリッター3km台が目安。高速を含め平均してもリッター5kmくらいなので、すぐガソリンなくなっちゃうな~と感じる。

男鹿半島を目指して自走中の大貴族号こと清水草一の先代マセラティ・クアトロポルテ。
男鹿半島を目指して自走中の大貴族号こと清水草一の先代マセラティ・クアトロポルテ。    清水草一

私のふだんの足は、2リッターディーゼルのプジョー508。平均でリッター17km走っている。それにくらべると大貴族号は、燃料代が4倍くらいかかる。

それでも今回はロングドライブなので、ワンタンクで600km以上を走破した。やるじゃん大貴族号!

セルフスタンドでハイオク(190円/リッター)を満タンにする。78.9リッター入って、代金は1万4990円となった。満タン給油の生涯最高金額を更新だ。

ただし燃費はリッター8kmと悪くない。加減速が多いとずんずんガソリンが減るけど、時速70kmくらいでそーっと走れば、リッター10kmも夢じゃなさそうだ。実にどうでもいい夢だが……。

取扱説明書は『約90リッター』!

それにしてもこのクルマ、ガソリン何リッター入るんだろう。

取扱説明書には、『約90リッター』と書かれている。スペックに『約』なんて付けるクルマがあること自体、几帳面な日本人には驚きだが、私としては、容量100リッターが正しい気がする。100リッターなら、8割がた使って78.9リッターはドンピシャだ。

車載の取扱説明書には『約90リッター』と書かれている。
車載の取扱説明書には『約90リッター』と書かれている。    清水草一

イタ車のメーターがそんなにドンピシャなのかと言われればそれまでだが、36年くらい前、池沢早人師先生が愛車のフェラーリテスタロッサについて、「本当は100リッター入るんだけど、なんかに引っかかるから98リッターってことにしてあるらしいよ」と語っておられた記憶がある。

先代マセラティも、ホントは100リッター入るんだけど約90リッターにした、ってことはないのか? ガソリンは極めて引火しやすい危険物なので、自治体によっても規制があるようだし。

調べてみると、日本では『ガソリンタンクの増設は200リッターまで』とされているのみで、100リッターオーバーと公表されているクルマも複数存在していた。そうなのね。

結局、約90リッターは99リッターのことかもしれない、ということで納得することにした。

危険物感満点の大貴族号は走る。何のトラブルもなく走る。たまにサスペンションが『ガツン!』と突き上げるのと、内装がベタベタしてるのと、ボンネットのクリア塗装が剥がれ始めてる以外、まったく快調。外気温系が37度(驚くほど正確です)でもエアコンはビンビンだ。

いよいよ男鹿半島先端部に突入。国道から広域農道『なまはげライン』に入ると、ほぼ貸し切りのスーパー快適ロードになった。うひょー、気持ちイ~~~~!

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    清水草一

    Souichi Shimizu

    1962年生まれ。慶応義塾大学卒業後、集英社で編集者して活躍した後、フリーランスのモータージャーナリストに。フェラーリの魅力を広めるべく『大乗フェラーリ教開祖』としても活動し、中古フェラーリを10台以上乗り継いでいる。多くの輸入中古車も乗り継ぎ、現在はプジョー508を所有する。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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