即座にわかる「期待超えの走り」 トヨタ・カローラ 2.0ハイブリッド(2) 13代目ハードル高し?

公開 : 2025.10.02 19:10

躍動的なスタイリングの12代目カローラ 堅牢さが滲み出るインテリア タッチモニターは前時代的 充分以上の動力性能 直感的に操れるシャシー 想像以上にフラット UK編集部が試乗

充分以上の動力性能 高速では若干忙しない

2025年仕様として、アップデートを受けたトヨタカローラ(カローラ・スポーツ)。英国仕様の2.0Lエンジン・ハイブリッドは、システム総合で178psを発揮する。実は従来より20馬力弱パワーダウンしているが、駆動用モーターは112psで変わらない。

CO2の排出量は106g/kmで、1.8Lハイブリッド並みに抑えられつつ、公道での走り味に大きな変化はない。0-100km/h加速も7.4秒で同値のまま。普段使いには充分以上といえる動力性能で、低域では力強く駆動用モーターがボディを牽引してくれる。

トヨタ・カローラ(カローラ・スポーツ)2.0ハイブリッド・エクセル(英国仕様)
トヨタ・カローラ(カローラ・スポーツ)2.0ハイブリッド・エクセル(英国仕様)

他方、高速道路では若干忙しない。巡航時は静かで滑らかなものの、勢いの良い加速を求めるとエンジンの回転数が不自然に上昇する。e-CVT特有の反応といえるが、心地良いものとはいいにくいだろう。優しくアクセルペダルを傾けようと、思えるはず。

e-CVTにはマニュアルモードも備わるが、スポーティさが明確に高まるわけではない。エンジン音も、聴き応えが良いわけではない。それでも、殆どの場面でスムーズだ。

直感的に操れるシャシー 想像以上にフラット

センターコンソールにはEVモード・ボタンが備わり、電気の力だけで走行できるが、距離は短い。カローラのシステム任せの方が、遥かに効率的に走れるはず。

回生ブレーキが備わり、Bモード時は効きが強くなる。他方、急な下り坂ではエンジンブレーキをかけるため、エンジンが始動する。回生量は、もっと増やしても良いだろう。

トヨタ・カローラ(カローラ・スポーツ)2.0ハイブリッド・エクセル(英国仕様)
トヨタ・カローラ(カローラ・スポーツ)2.0ハイブリッド・エクセル(英国仕様)

お手頃なハッチバックとして、操縦性と快適性とのバランスを取ることは難しい課題といえる。しかし12代目は、試乗でディーラーを出発した瞬間からシャシーの部品が調和し、直感的に操れることへ気付けるはず。

横方向のグリップは期待以上で、適度な重み付けのステアリングの反応は機敏。手のひらへ伝わる感触は少なくなく、無駄な姿勢変化も抑えられている。サスペンションは柔らかめながら、カーブでは想像以上にフラット。挙動は素直で、予想通りに運転できる。

運転支援の能力はクラス最高水準

乗り心地は、過去の体験からGRスポーツが履く18インチ・ホイールと、商用車仕様の15インチ・ホイールの間で大きな差がある。16インチが、見た目と心地良さの妥協点といえるかもしれない。車内ノイズは、いずれも少し大きめだ。

運転支援システムは、衝突被害軽減ブレーキやアダプティブ・クルーズコントロール、道路標識認識機能などが標準。動作は、このクラスとしては最高水準に加えられるだろう。特にクルーズコントロールは滑らかで、不要な加減速は最小限に思えた。

トヨタ・カローラ(カローラ・スポーツ)2.0ハイブリッド・エクセル(英国仕様)
トヨタ・カローラ(カローラ・スポーツ)2.0ハイブリッド・エクセル(英国仕様)

車線維持支援機能は、ステアリングホイール上のボタンで簡単に切り替えられる。だが、それ以外の機能の変更は、理解しにくい略語が多用され難解。メーター用モニター上ではなく、中央のタッチモニターで操作できた方が簡便なはず。

燃費は、高速道路を中心に複合的に走らせた、今回の平均値が20.2km/L。ホンダシビック e:HEVは、同等の条件で20.0km/Lを得ている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    役職:ソーシャルメディア・エグゼクティブ
    AUTOCARのSNS担当として、X、YouTubeショート、インスタグラムなどの運営を任されている。以前は新聞紙や雑誌に寄稿し、クルマへの熱い思いを書き綴っていた。現在も新車レビューの執筆を行っている。得意分野はEVや中古車のほか、『E』で始まるBMWなど。これまで運転した中で最高のクルマは、フォルクスワーゲンUp! GTI。 『鼻ぺちゃ』で間抜けなクルマだったが、家族の愛犬もそうだった。愛さずにはいられないだろう。
  • 執筆

    ウィル・リメル

    Will Rimell

    役職:ニュース編集者
    ニュース編集者としての主な業務は、AUTOCARのニュースの方向性を決定すること、業界トップへのインタビュー、新車発表会の取材、独占情報の発掘など。人と話したり質問したりするのが大好きで、それが大きなニュースにつながることも多い。これまで運転した中で最高のクルマは、アルピーヌA110。軽快な動きと4気筒とは思えないサウンドが素晴らしい。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

トヨタ・カローラ 2.0ハイブリッドの前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事