勘違いがきっかけで購入した三菱『パジェロエボ』 ラリーカーさながらの見た目と走りに一目惚れ
公開 : 2025.11.18 17:05
5年前に三菱『パジェロエボ』を中古で購入した英国のパット・テナントさん。ランエボと勘違いして輸入したディーラーの広告を見て、すぐに心を決めたそうです。ノーズが浮き上がるほどの加速は「たまらなく好き」とのこと。
英国ではあまり知られていない『エボ』
『エボ』と言えば、歴代の三菱ランサーエボリューションが思い浮かぶ。少なくとも、日本からスバル・インプレッサなどを輸入していたある英国のディーラーはそうだった。
そのディーラーからエボを購入したパット・テナントさんは、当時のことをこう振り返る。「ディーラーの仕入れ先が『コンテナにあと2台分の空きがあるんですが、エボを2台いりませんか?』と提案したそうです。ディーラーはランサーのことだと勘違いして『お願いします』と答えました。ところが英国の港でコンテナを開けると、中身は三菱パジェロエボだったんです。何だこれは? どうやって売るんだ? と困惑したそうです」

ディーラーは広告を出すしか選択肢がなかった。その広告を見たパットさんがパジェロエボについていろいろ調べてみたところ、「非常に特別なクルマだと分かった」という。「三菱はダカール・ラリーに参戦するため、2代目パジェロをベースに公道走行可能なバージョンを約2500台生産しました」
「ロールケージがないことを除けば、中身も見た目もラリーカーと非常に近い。ワイド化されたシャシー、大きく張り出したホイールアーチ、マルチリンク式リアサスペンション、トルセン式デフ、そして280psを発生する3.5L 24バルブV6 MIVECガソリンエンジンを搭載しています」
公道仕様のパジェロエボが販売されたのは1998年のほぼ1年間のみだが、ダカール・ラリーのT2クラス出場許可を得るには十分であり、そして見事に優勝した。1985年から2007年にかけて、パジェロは同ラリーで記録的な12回の優勝を果たしている。
こうした背景を知ったパットさんは、ディーラーから「入荷したばかりの奇妙なエボ2台を見てみませんか」と誘われた時、早くもどちらか1台の購入を決めていたという。
維持費はかかるが将来の価値に期待
問題はどちらを選ぶかだった。「工場出荷時の仕様に限りなく近いものが欲しかったんです」
「白い方はアフターパーツが多すぎたので、シルバーに決めました。社外品のマフラー以外は完全に純正で、状態も最高でした。走行距離19万kmで1万ポンド(約200万円)で買いましたが、いずれ10万ポンド(約2000万円)になる日が来ると思っています」

「今は、3万5000ポンド(約700万円)の保険をかけています」
5年間所有した今でも、パットさんのエボへの愛情は衰えていない。「このクルマには驚くような逸話があるんです。ダカール・ラリーでは、1台がコースアウトしてフロントサスペンションを破損したにもかかわらず、生垣を突き破って復帰し、ステージを制したんです!」
「路上で圧倒的な存在感を放つ驚異的なマシンです。発進時の加速は強烈で、0-100km/h加速は8秒未満。ただし20フィート(約6m)も走ると、それ以上はなかなか伸びないことに気付きます。全開加速時にリアがサスペンションに沈み込み、ノーズが跳ね上がる感覚がたまらなく好きなんです。最高燃費が5.0km/l程度なので、普段はかなり控えめに運転していますけどね」
パットさんは明らかにこのクルマに夢中だが、思わぬ展開もあった。「ドアを開けるたびに、日本人女性が話しかけてくるんですよ。てっきり『おはよう、パット。今日はハンサムだね』と言っているんだと思っていましたが、実は彼女は、日本の有料道路の通行許可証(ETCカード)がないことを伝えているのだと後で知ったんです」
パットさんは、すぐに手放すつもりはない。「このクルマと、パディ・ホプカーク(ラリードライバー)がサインしたミニ・クーパー、そして珍しい2001年式のランドローバー・ディスカバリーのV8マニュアル車は、このまま保管しておくつもりです。いつか素晴らしいコレクションができるでしょうね!」








