フォルクスワーゲンID.7 GTX ツアラー(2) 快適・俊足なGTワゴン UK編集部の高い期待へあと1歩

公開 : 2026.01.06 18:10

ツインモーターで340psを得たID.7 GTX 流れるようにスポーティなボディ 落ち着いた雰囲気で広々の車内 感心するほど熟成な走り 特性はGTワゴン 現実の航続は400km UK編集部が試乗

感心するほど熟成された走り 驚きは薄い

フォルクスワーゲンID.7 GTX ツアラーの走りの印象は、感心するほど熟成されたもの。刺激は薄いかもしれないが、基本的に好ましい。0-100km/h加速は5.5秒と不満なし。エントリーグレードのBMW i5 eドライブ40と、同程度の動力性能といえる。

一方、高性能な「GTX」として、物足りなく感じる人はいらっしゃるかもしれない。0-100km/h加速を、4.0秒以下でこなすバッテリーEVは珍しくない。郊外の幹線道路や高速道路を、期待通り走れるパワーは備えるものの、驚きは薄いといえる。

フォルクスワーゲンID.7 GTX ツアラー(英国仕様)
フォルクスワーゲンID.7 GTX ツアラー(英国仕様)

回生ブレーキは、シフトセレクターのDとBで2段階に切り替えられるものの、基本的にはドライブモードで強さが変わる設定。コンフォートとエコ・モードでは効きが弱く、スポーツ・モードではワンペダルドライブのように強くなる。

結果としてブレーキペダルを踏む回数は多くなるが、踏み心地はソフト。ストロークが長い反面、摩擦ブレーキの効き始めが突然で、制動力を徐々に高めることが難しい。もう少し、リニアさが欲しい。

グランドツーリング・ワゴンな特性

姿勢制御やグリップ力は、通常のID.7より僅かに高い。とはいえ、操縦性やコーナリングバランス、スタビリティなどで、明確な向上を果たしたわけでもない。長いホイールベースを活かし、ゆったり先を急ぐという、基本特性に変わりはないといえる。

ステアリングホイールへ伝わる、フィードバックは薄め。アシスト量が変化するため、ダイレクト感もやや乏しい。

フォルクスワーゲンID.7 GTX ツアラー(英国仕様)
フォルクスワーゲンID.7 GTX ツアラー(英国仕様)

サスペンションは、ダイナミック・シャシー・コントロール(DSC)が標準で、アダプティブダンパーが組まれる。ソフト側へ振ると、穏やかな乗り心地へ浸れるが、スポーツ・ステーションワゴンらしいわけではないだろう。

引き締めると、落ち着きへ影響が出る。4961mmと長く、2264kgと重いボディを、実感させるように。21インチ・ホイールの受ける強い入力が、伝わる瞬間も感取された。

電費は振るわず 現実の航続は400km

電費は、オプションの21インチ・ホイールを履いた試乗車で、平均4.6km/kWhと振るわなかった。シングルモーターのID.7より、2割ほど低いといえる。高速道路を巡航させた場合、現実的な航続距離は400km。価格を踏まえると、もう少し長くて良い。

急速充電は、カタログ値で最大200kWまで。英国の充電ステーションで試したところ、120kWを超える場面は見られなかった。

フォルクスワーゲンID.7 GTX ツアラー(英国仕様)
フォルクスワーゲンID.7 GTX ツアラー(英国仕様)

ID.7 GTX ツアラーのお値段は、英国では6万2700ポンド(約1279万円)から。だが現在のディーラーは、3000ポンド(約61万円)ほど値引きしている。6万ポンド(約1224万円)以下なら、価格競争力は充分に高いといえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・ソーンダース

    Matt Saunders

    役職:ロードテスト編集者
    AUTOCARの主任レビュアー。クルマを厳密かつ客観的に計測し、評価し、その詳細データを収集するテストチームの責任者でもある。クルマを完全に理解してこそ、批判する権利を得られると考えている。これまで運転した中で最高のクルマは、アリエル・アトム4。聞かれるたびに答えは変わるが、今のところは一番楽しかった。
  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 執筆

    クリス・カルマー

    Kris Culmer

    役職:主任副編集長
    AUTOCARのオンラインおよび印刷版で公開されるすべての記事の編集と事実確認を担当している。自動車業界に関する報道の経験は8年以上になる。ニュースやレビューも頻繁に寄稿しており、専門分野はモータースポーツ。F1ドライバーへの取材経験もある。また、歴史に強い関心を持ち、1895年まで遡る AUTOCAR誌 のアーカイブの管理も担当している。これまで運転した中で最高のクルマは、BMW M2。その他、スバルBRZ、トヨタGR86、マツダMX-5など、パワーに頼りすぎない軽量車も好き。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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