アウディF1参戦の裏側 秘密の拠点に潜入(前編) 隠しきれない緊張と不安、不明瞭な将来

公開 : 2025.11.29 11:25

うまく見通せない先行き

厄介なのが、テスト時間に対する厳しい制限だ。2026年からは、エンジンテストは700時間、電気部品テストは400時間に制限される。そしてドライブトレイン全体のテストは両方の時間制限を圧迫する。

ノイブルクに不安が広がる背景には、アウディがこれまでハイブリッドシステムに注力してきたため、エンジンのテストをようやく始めたばかりだという事情がある。時計の針は無情にも刻まれていく。チームは新型ターボチャージャー付きV6エンジンの性能を、まだほとんど把握できていない。

限られた時間でテストを繰り返すエンジニアたちの間には緊張感が漂っている。
限られた時間でテストを繰り返すエンジニアたちの間には緊張感が漂っている。

こうした不確実性がアウディの調達方針に影響を与えている。2026年シーズン中、各F1ドライバーが使用できるエンジンは3基のみだが、アウディは合計50~100基を製造する見込みだ。最良のユニットはレース用に確保され、残りはさらなるテストと開発に充てられる。

担当するエンジニアは、1基あたりわずか2名。ワークショップの前を通ると、緊張感が漂う中、排気システムやエンジンブロック、内部部品が慌ただしく運ばれている。全員が最善を尽くしているようだが、その先行きはまったく不明瞭だ。

(翻訳者注:この記事は「後編」に続きます。)

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    役職:編集アシスタント
    2022年よりAUTOCARに加わり、ニュースデスクの一員として、新車発表や業界イベントの報道において重要な役割を担っている。印刷版やオンライン版の記事を執筆し、暇さえあればフィアット・パンダ100HP の故障について愚痴をこぼしている。産業界や社会問題に関するテーマを得意とする。これまで運転した中で最高のクルマはアルピーヌ A110 GTだが、自分には手が出せない価格であることが唯一の不満。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

アウディF1参戦の裏側の前後関係

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