ブリヂストン吹奏楽団久留米が70周年!『最高の品質で社会に貢献』の志は、音楽でも

公開 : 2025.12.10 11:45

2025年メセナアワードを受賞

団員の演奏の場は、吹奏楽コンクールのみではない。定期演奏会、工場周辺の学校・施設での訪問演奏のほか、地元の中高生への演奏指導も行う。近年行うようになった子どものためのコンサートは2部構成になっており、楽器体験会を行うことで、子どもたちに初めての経験の機会を与えている。

こうした社会貢献の功績と団員の努力が認められ、今年、『企業による芸術文化の進行とこれを通じた心豊かなより良い社会づくりの観点で特に優れた活動を顕彰』するというメセナアワードを受賞。

地元に愛される楽団で、「ありがたいことに定期演奏会は2日間満席になる」とのこと。
地元に愛される楽団で、「ありがたいことに定期演奏会は2日間満席になる」とのこと。

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今後は上記の活動に加え、現在従業員の子どもに限っている『ジュニアアカデミー』も一般に対象を広げるなど、積極的に活動していきたい、と総務課長の坂本朋子氏は話していた。

もちろんこれは、簡単なことではない。現在、演奏会が主に西日本地区でのみ行われているのは、通常業務との両立のため、長期間現場を離れられないから。そこもコンクールがあった地で日程を合わせて行うなど、工夫をしていくという。

同団の演奏会にはこれまで、のべ30万人以上が来場。記録に残っているだけで1968年から350人以上の団員が在籍してきたこの楽団は、まだまだ発展を目指している。

取材会では残念ながら映像しか見られなかったが、吹奏楽人口の比率から考えると全国でも非常に珍しい男性だけの楽団だけあり、委嘱作品『プレイ・オブ・アマデウス~神の戯れ~』(杉浦邦弘作曲)は迫力の演奏だった。ホルンの古川氏も、「音圧は持ち味であり、魅力のひとつ」と胸を張る。

過去のプログラムからクラシック寄りの選曲が多く感じるが、アンコールにはマンボNo.8やエル・クンバンチェロといったラテンナンバーを入れるのがお約束とのこと。ステージマネージャーも務めるクラリネットの安丸氏によると、現代の作曲家の作品を演奏することの大切さを音楽監督の冨田篤先生と共有しているという。キリン・フィルハーモニー管弦楽団の『ビア樽ポルカ』のように(あれはオリジナルではないが)、真摯に前進するブリヂストンらしいオリジナル楽曲を委嘱してみたら、定番のアンコール曲として愛されそうだ。今後の発展を見続けたい。

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    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の日本版。

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