2000年代を代表するハイパフォーマンスカー 30選(中編) 突き詰めた性能の頂点

公開 : 2025.12.28 11:25

フォード・フォーカスRS Mk2(2008年)

フォードは2008年、2代目フォーカスRSを発表した。RSラリーチームのヨースト・カピート代表は「フォーカスSTがイルカなら、フォーカスRSはサメのような存在」と表現した。その主張を裏付けるように、外観は迫力満点だ。張り出したフェンダー、攻撃的なベントとスポイラー、デュアルエグゾースト、そしてWRCにインスパイアされた派手な「アルティメットグリーン」(写真)のカラーが存在感を強調している。

性能面も決して劣らず、ターボチャージャー付き2.5L直列5気筒エンジンは最高出力309psと最大トルク45.0kg-mを発生する。フォーカスのラリーカーとの関連性から、四輪駆動の導入も検討されたと報じられていたが、実現はしなかった。結果的に、それが惜しまれることはなかった……。

フォード・フォーカスRS Mk2(2008年)
フォード・フォーカスRS Mk2(2008年)

AUTOCAR英国編集部の評価:「速い。そして何より楽しい。ホットハッチの新たなベンチマークだ」

ケーニグセグCCX(2006年)

ケーニグセグ初の量産モデルであるCC8Sは、2000年のパリ・モーターショーで発表された。当時、ケーニグセグはまだ創業間もない段階だったため、CC8Sにはフォード設計のブロックを基にした4.7L V8エンジンが採用された。ただし、このブロックは本拠地スウェーデンのエンゲルホルムで完全に再設計されていた。

しかし、CC8Sの後継車を開発する段階に至り、ケーニグセグは新しいエンジンを初めて完全自社開発した。そのモデルが2006年のCCXだ。新開発のドライサンプ式ツインスーパーチャージャー付き4.7L V8エンジンは、最高出力817psと最大トルク95.8kg-mを発生。車重わずか1280kgのクルマにとって前代未聞の数値だ。今日、ケーニグセグが世界最高峰のパワートレインを製造できるのは、CCXの功績が大きい。

ケーニグセグCCX(2006年)
ケーニグセグCCX(2006年)

AUTOCAR英国編集部の評価:「スウェーデン車の中で、ジェット戦闘機を思わせるのはただ1台だけだ。ちなみに、サーブではない」

ランボルギーニムルシエラゴ(2001年)

愛されながらも欠点も抱えたディアブロの後継車であるムルシエラゴは、2001年にデビューすると瞬く間に一世を風靡した。低く構えた、角張った流線形ボディに、ドラマチックな可動式エアインテークを備え、まさにランボルギーニらしい姿だった。6.2L自然吸気V12エンジンは、申し分ない性能を発揮する。ロードスターモデルもすぐに登場したが、2006年には改良型のLP-640(写真)が発売された。

その名の通り、改良型では出力が640psにアップし、エンジン排気量も6.2Lから6.5Lに拡大されている。ガヤルドと並んで、ムルシエラゴLP-640とその派生モデルは、ランボルギーニ最後のマニュアル・トランスミッション搭載車となった。オートメイテッド・マニュアルの『e-ギア』を選択する人も多く、マニュアル車のLP640は今日では極めて希少で、非常に人気が高い。

ランボルギーニ・ムルシエラゴ(2001年)
ランボルギーニ・ムルシエラゴ(2001年)

AUTOCAR英国編集部の評価:「憧れの頂点に位置する1台。輝かしい名、輝かしいフォルム、輝かしいエンジン。輝かしいステアリング。まさに輝かしい……」

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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