ドッカンターボのサーブ9000 乗るほど愛情が湧くアルファ・ロメオ164 ティーポ4プロジェクトのサルーンたち(3)

公開 : 2026.02.01 17:55

鋭敏に反応するブッソ設計のV6エンジン

アクセルペダルは軽く踏め、ジュゼッペ・ブッソ氏の設計によるV6エンジンの反応は鋭敏。バリトンサウンドを奏でながら、4000rpm以上で一段パワー感が高まる。

ショートレシオが組まれた5速マニュアルの変速感は、4台で1番滑らか。シフトレバーの動きに、無駄もない。ステアリングはややダイレクト感に欠け、パワーオン時はトルクステアが僅かに生じるが、回頭性は9000より鮮明だ。

アルファ・ロメオ164 クアドリフォリオ(1987〜1998年/英国仕様)
アルファ・ロメオ164 クアドリフォリオ(1987〜1998年/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

コーナリングはホットハッチのように積極的だが、1444kgの車重をダンパーが巧みに受け止め、マナーはニュートラル。乗り心地は印象的に優れ、ボディも水平に保たれる。

乗るほどに愛情が湧く164は、不調にあったアルファ・ロメオを好転させた。1993年のフェイスリフトを経て、同等スペックのBMW 5シリーズに並ぶ価格が設定され、価値の高い上級サルーンという認識は一層広まった。

新たな時代の幕開けといえた技術共有

アルファ・ロメオはその後、166とひと回り小さい156を投入。前者は販売が伸びなかったものの、155の後を継いだ後者には多くの注目が向けられた。その裏で、フィアットランチアは充分な支持を集められずにいた。テーマには、ワゴンも用意されたが。

最終的にランチアは失速し、1994年に英国や日本から撤退。テーマを改良したカッパが登場するものの、迷走感は否めなかった。フィアットは、小型車中心へ方針を改めた。

手前からフィアット・クロマ CHT、ランチア・テーマ 8.32、サーブ9000 カールソン、アルファ・ロメオ164 クアドリフォリオ。
手前からフィアット・クロマ CHT、ランチア・テーマ 8.32、サーブ9000 カールソン、アルファ・ロメオ164 クアドリフォリオ。    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

サーブは北米市場で成功。後に買収されるゼネラル・モーターズから資金提供を受け、ラインナップの拡大も進められ、束の間だが黄金期を謳歌している。

タイプ4が生産終了を迎える頃には、自動車市場は大きく変化していた。4ブランドでの技術共有は、新たな時代の幕開けといってよかった。それでも、そこから生まれた4台の個性は、明確に異なっていた。

協力:ヘイスロップ・パーク、ワーナーホテルズ、サーブ・オーナーズ・クラブ・オブGB、アルファ・ロメオ・オーナーズ・クラブUK、アングリア・カー・オークションズ社、マクグラス・マセラティ

ティーポ4から生まれた4モデルのスペック

アルファ・ロメオ164 クアドリフォリオ(1987〜1998年/英国仕様)

英国価格:2万5965ポンド(1991年時)/1万5000ポンド(約312万円)以下(現在)
生産数:27万3857台(164合計)
全長:4555mm
全幅:1760mm
全高:1400mm
最高速度:230km/h
0-97km/h加速:7.8秒
燃費:7.6km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1444kg
パワートレイン:V型6気筒2959cc 自然吸気 SOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:202ps/5800rpm
最大トルク:27.3kg-m/4400rpm
ギアボックス:5速マニュアル/前輪駆動

サーブ9000 カールソン(1984〜1998年/英国仕様)

英国価格:2万8595ポンド(1991年時)/1万ポンド(約208万円)以下(現在)
生産数:50万3087台(9000合計)
全長:4780mm
全幅:1764mm
全高:1420mm
最高速度:233km/h
0-97km/h加速:7.4秒
燃費:7.3km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1385kg
パワートレイン:直列4気筒2290cc ターボチャージャー DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:223ps/6500rpm
最大トルク:33.9kg-m/2000rpm
ギアボックス:5速マニュアル/前輪駆動

ランチア・テーマ 8.32(1984〜1994年/英国仕様)

アルファ・ロメオ164 クアドリフォリオ(1987〜1998年/英国仕様)
アルファ・ロメオ164 クアドリフォリオ(1987〜1998年/英国仕様)

英国価格:3万7500ポンド(1988年時)/3万5000ポンド(約728万円)以下(現在)
生産数:33万6000台(テーマ合計)
全長:4590mm
全幅:1733mm
全高:1433mm
最高速度:223km/h
0-97km/h加速:7.2秒
燃費:5.5km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1423kg
パワートレイン:V型8気筒2927cc 自然吸気 DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:215ps/6750rpm
最大トルク:28.9kg-m/4500rpm
ギアボックス:5速マニュアル/前輪駆動

フィアット・クロマ CHT(1985〜1996年/英国仕様)

英国価格:9364ポンド(1987年時)/6000ポンド(約124万円)以下(現在)
生産数:43万8000台(クロマ合計)
全長:4495mm
全幅:1760mm
全高:1433mm
最高速度:181km/h
0-97km/h加速:12.1秒
燃費:11.0km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1084kg
パワートレイン:直列4気筒1995cc 自然吸気 DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:91ps/5500rpm
最大トルク:17.1kg-m/2800rpm
ギアボックス:5速マニュアル/前輪駆動

記事に関わった人々

  • 執筆

    アーロン・マッケイ

    Aaron McKay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ティーポ4プロジェクトのサルーンたちの前後関係

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