トランプ逆風が暴風雨に! F-150、シルバラード、マスタングなどアメリカ車EVはこれからどうなる?

公開 : 2026.02.23 07:05

アメリカ・トランプ大統領による方針転換が、EVに大きく影響を及ぼしています。それは逆風、暴風雨とも言えるものです。ここでは桃田健史がF-150、シルバラード、マスタングなどアメリカ車EVの今後を分析します。

2009年オバマ政権『危険性の認定』を撤回

「これは巨大な詐欺だ。オバマ(大統領)とバイデン(大統領)による詐欺だ」

トランプ大統領がまた吠えた。

2023年6月、バイデン大統領(当時)がGMファクトリー・ゼロのオープニングに参加した時の写真。
2023年6月、バイデン大統領(当時)がGMファクトリー・ゼロのオープニングに参加した時の写真。    ゼネラルモーターズ

アメリカ政府は2月12日、CO2など温室効果ガスが人の健康や地球環境全体に悪影響を与えるとした2009年オバマ政権での、『危険性の認定』を撤回すると発表。これに合わせて、環境規制の強化路線を進んだ民主党政権の方針を強く非難した。

加えてトランプ大統領は、アメリカの消費者がより安い価格で高性能な自動車を購入できるようになるとの認識を示した。EVやプラグインハイブリッド車に比べて、ハイブリッド車やガソリン車、ディーゼル車の需要を底上げする狙いがある。

自動車メーカーとしては今回の決定を受けて、次世代電動車の研究開発計画や市場導入計画を見直す必要が出てきた。ただし、自動車メーカーとしてはこれまでに事業方針の転換に向けた準備はしており、ここへきて慌てている状況にはない。

トランプ大統領は2020年の第1次トランプ政権の時点でパリ協定から離脱し、さらに第2次トランプ政権発足直後には、バイデン政権の方針を覆してパリ協定から再離脱するなど、地球温暖化に対する世界の流れを全面的に否定してきた。

パリ協定は、COP21(国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議)で採択された同会議における地球温暖化の抑制目標だ。では、具体的にアメリカでのEVへの影響はどうなるのか。アメリカ・メーカー別に今後の方向性について考えてみたい。

デトロイト3、EV事業規模大幅縮小へ

まず、ゼネラルモーターズ(GM)は独自開発のEVプラットフォーム、電池、モーター、制御系である『アルティウム』に巨額投資を行い、GMの各ブランドでEVモデルを投入してきた。

また、燃料電池車での協業体制を敷いてきたホンダとEVの共同開発を含めた戦略的アランアンスを結び、北米市場向けの小型から大型までの各種EVを2027年以降に数百万台レベルで生産するとしてきた。

フォードはEV事業を大幅に縮小、『F-150ライトニング』(写真)は生産中止となる。
フォードはEV事業を大幅に縮小、『F-150ライトニング』(写真)は生産中止となる。    フォード

だが、2023年後半時点でGMとホンダはEV戦略を大幅に見直した。

GMとしては、EVを高付加価値な商材として捉え直し、自社ブランドの中で今後のモデルラインアップを精査していく。ホンダは近いうち、主力市場である北米とEV普及率が高い中国でのEV戦略の見直し案を提示する予定だ。

フォードもEV戦略を抜本的に見直す。2025年12月の発表では、戦略展開に伴い関連費用で3兆円を計上する事態となっている。EV事業は大幅に縮小され、現時点で判明しているのは『F-150ライトニング』の生産中止だ。

ピックアップトラック『Fシリーズ』はフォードにとって事業の大黒柱であり、それをEVに仕立てることでEVシフトのシンボルとしてきた。

ステランティスもEV事業転換等の費用で4兆円を計上する。自社傘下の欧米ブランドの中でオペルのEV専用ブランド戦略を打ち出し、またクライスラーダッジなどでEV関連部品の量産効果を狙ってきた。

トランプ政権後に再びEVシフトが本格化する可能性は否定できないが、北米市場は現状、EVへの逆風が吹き荒れている。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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