【高市首相が策定を指示】ガソリン税の『暫定税率』廃止最終調整へ!結局価格は下がる?軽油価格と逆転現象は?
公開 : 2025.10.23 07:25
高市早苗首相は10月21日、就任記者会見でガソリン税の暫定税率廃止を含む経済対策の策定を指示したことを明らかにしました。これにより『ガソリン税の暫定税率廃止法案』が成立する可能性が高まっています。桃田健史の解説です。
暫定税率とはいったい何なのか?
高市早苗首相は10月21日、就任記者会見でガソリン税の暫定税率廃止を含む経済対策の策定を指示したことを明らかにした。
これにより、野党7党が提出している『ガソリン税の暫定税率廃止法案』が今回の臨時国会の中で成立する可能性が高まった。施行されるとガソリン価格は25.1円安くなる。

では、暫定税率とはいったい何なのか?
暫定税率とは文字通り、税制上で暫定的な措置に基づく税率のこと。正確には『旧 暫定税率』という。
そもそもは高度経済成長期の1970年代、全国での道路拡張に対する財源として暫定的に設置した。また、オイルショックによる経済停滞における税収減少への対策でもあった。2009年に道路財源から一般財源化されたものの、それ以降は『当分の間(とうぶんのかん)税率』として現在まで続いている。
こうした状況や、クルマの所得における環境性能割が消費税と二重課税になっている問題などについて、自動車産業界からはクルマの税金に対する抜本的な見直しを求める声が絶えなかった。
そうした中で、昨今の物価高を踏まえた経済対策として、『ガソリン税の暫定税率廃止』に向けた与野党間での動きが活発した。高市首相としては、連立政権における日本維新の会との関係、また野党との円満な関係を実現する上で、ガソリン税の暫定税率廃止の早期決着を目指す。
自民党は10月22日、立憲民主党に来年2月の施行を提案している。
軽油も価格が下がる可能性あり
ガソリン価格が25.1円も一気に下がると、軽油の価格と逆転現象を起こすのではないかと心配するユーザーもいるだろう。
実は、軽油にかかっている軽油引取税に対しても暫定税率(17.1円)が存在するのだ。

軽油引取税は都道府県税で、地方自治体にとっては貴重な財源だ。そのため全国知事会では、軽油に対する暫定税率廃止に向けては税収約1.5兆円分の代替となる地方交付金などを国が手当するべきとの声がある。
これが主に国税であるガソリン関連諸税に比べて、軽油の暫定税率廃止の議論が遅れている主な原因だと言われている。
ただし、自民党総裁選前の8月、自民党、当時の与党の公明党、そして野党を代表して立憲民主党による実務者協議の中で、軽油の暫定税率廃止の来年4月施行を目処に調整を行うことで協議している。
直近では、日本維新の会の吉村洋文代表が10月22日、テレビ番組で軽油の暫定税率廃止で生じる財源の確保は可能との意見を述べた。
ガソリンと軽油のほか、クルマの税金には車体課税がある。
これについては、日本の税金の全体像を事実上決める、与党税制調査会が12月にまとめる税制改正大綱の中で大きく変わる可能性が高い。
焦点は、環境性能割の廃止、自動車税(軽自動車税)と自動車重量税を融合した新税の新設だ。なお、自動車重量税にも暫定税率がかかっている。
クルマ関連の税金について当分の間、ユーザーは目が離せない。


