「クセつよ」だけど愛さずにはいられないクルマ 40選(後編) 唯一無二の存在感がたまらない

公開 : 2025.11.16 11:45

個性が強すぎるクルマはときとして不人気車のレッテルを張られてしまいます。しかし、そうした唯一無二の特徴が人々の心を捉えることも。今回は、万人受けはしないもののどこか好きになってしまうクルマを紹介します。

オートザムAZ-1

ホンダ・ビートスズキカプチーノに並んで、オートザムAZ-1というもう1つの軽スポーツカーが存在する。ホイールベースはわずか2235mmで、「究極の日本製マイクロマシン」とも称された。前後ストラットサスペンションと全輪ディスクブレーキを採用し、バランスの取れたハンドリングを実現。横置き657ccエンジンから64psを後輪に伝達するが、車重はロータス・エリーゼ並みの720kgしかない。

ガルウィングドアとフェラーリF40風のリアスポイラーが他の軽自動車と一線を画す特徴的な装備だ。AZ-1は1992年から3年間でわずか4400台しか生産されなかった。当時としては最も型破りな軽自動車であり、ミニフェラーリを思わせる外観と3気筒エンジンの快音が、ここに取り上げる理由だ。

オートザムAZ-1
オートザムAZ-1

シボレーSSR

シボレーSSRは世界初のトラックベースの2人乗りロードスターだ。レトロなボディの下には300psの5.3L V8エンジンが搭載され、2270kgの車体を静止状態から100km/hまでわずか7.6秒で加速させる。2分割式の電動格納ルーフは20秒で開閉でき、前席後方の専用収納スペースに収納される。

しかし、ラック&ピニオン式ステアリングのため、わずかな路面の凹凸でもステアリングコラムが揺れる。また、19インチ(前輪)と20インチ(後輪)のアルミホイールは、限界まで追い込むと顕著なアンダーステアを引き起こした。最速でもベストセラーでもなかった(生産はわずか4年で終了した)が、その存在感は他に類を見ないものだ。

シボレーSSR
シボレーSSR

ハマーH3

2003年にハマーH2が3万5259台売れた後、次期モデルH3の開発が始まった。こちらは2005年に発売され、2007年にはハマーブランドとして初めて英国市場への進出も果たした。優れた泥濘突破能力を持ち、ディフェンダーですら苦戦する過酷なオフロード地帯も攻略できた。英国では244psの3.7L 5気筒エンジンを搭載し、5速マニュアルまたは4速オートマティック・トランスミッションが選択可能だった。

しかし、2006年にはハマー史上最高の7万1524台を売り上げたものの、その直後に世界的な金融危機が発生し、GMは破産申請を余儀なくされた。付け足したようなクロームグリル、膨れ上がったボディ、派手なカラーリングは多くの人の好みには合わなかったかもしれない。だが、ハマーはそうした特徴を愛されてきたし、筆者も気に入っている。そして現在、GMCの新型EVシリーズとしてハマーブランドが復活したのも当然と言える。

ハマーH3
ハマーH3

記事に関わった人々

  • 執筆

    AUTOCAR UK

    Autocar UK

    世界最古の自動車雑誌「Autocar」(1895年創刊)の英国版。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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