フェラーリ株価暴落前日、イタリア現地取材で思ったこと(後編) 投資家に左右される経営の行方【不定期連載:大谷達也のどこにも書いていない話 #4】

公開 : 2026.03.12 11:45

自分たちの成功を信じて疑わない

いや、投資家たちが何を考えようと勝手との見方も成り立つ。事実、このニュースを耳にしたフェラーリの従業員のなかには「株価が下がったなら、このチャンスに株式を買い増そう」と言い出す強者さえいたほど。言い換えれば、彼らは自分たちの成功を信じて疑わなかったのである。

その一方で、株価が急落すれば、経営陣が戦略の見直しを強いられるというケースもあるはず。しかも、それがこのご時世にBEVの販売台数を上乗せするという『誤った判断』だったとしたら、どうだろう? もしも、この戦略見直しによってこの会社の収益性が悪化したとしたら、いったい誰が責任をとるのだろうか?

今後10年間の自動車産業界の動向を予想するのは誰にとっても難しい。
今後10年間の自動車産業界の動向を予想するのは誰にとっても難しい。    フェラーリ

もちろん、今後10年間の自動車産業界の動向を予想するのは誰にとっても難しい。私がBEVの成長率を弱含みで予想しているのも、もしかしたら間違いかもしれない。けれども、自動車市場の動向を正しく把握しているとは思えない投資家たちによって自動車メーカーの経営戦略が間違った方向に導かれるとしたら大問題である。

昨今のEU議会による『2035年エンジン車販売禁止法案』の見直しも、間違った市場予測が自動車メーカーを苦境に追いやった好例(悪例?)というべきだ。投資家たちには、正しい情報をベースにした適切な判断を下すように促したい。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    大谷達也

    Tatsuya Otani

    1961年生まれ。大学で工学を学んだのち、順調に電機メーカーの研究所に勤務するも、明確に説明できない理由により、某月刊自動車雑誌の編集部員へと転身。そこで20年を過ごした後、またもや明確に説明できない理由により退職し、フリーランスとなる。それから早10数年、いまも路頭に迷わずに済んでいるのは、慈悲深い関係者の皆さまの思し召しであると感謝の毎日を過ごしている。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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