フェラーリ初EVは航続距離530kmの4ドアGT 快適性とスリル満点のハンドリング両立 本物の「エンジン音」も
公開 : 2025.10.10 06:45
フェラーリ初のEV『エレットリカ』のシャシーが公開されました。1000ps超の4基モーター、巨大バッテリー、そして「スリル満点」のハンドリングを実現する驚異的なアクティブ・サスペンション技術を採用しています。
もくじ
ーシャシー技術とパワートレインを初公開
ーなぜ4人乗りの「4ドアGT」としたのか?
ー他に類を見ないEVプラットフォーム
ーエンジンに代わるクアッドモーター
ー驚異的なアクティブ・サスペンション
ー機械部品の振動を活用したサウンドトラック
ー今後の展開は?
シャシー技術とパワートレインを初公開
フェラーリ初のEVは来年発売される予定だ。合計出力約1000psを発生する4基のモーター、驚異的な加速性能、革新的なシャシー技術、F80から継承したアクティブ・サスペンションを備えるが、経営陣は「スーパーカーではない」と明言している。
4ドア、4人乗りモデルで、むしろGTカーに近く、以前のV12エンジン搭載のFFやGTC4ルッソといったモデルの間接的な後継として位置づけられる。コードネームは『エレットリカ(Elettrica)』で、同社にとって7番目の独立モデルラインとなる。

異例なことに、エレットリカは3段階に分けて発表される。今回はまず、完全専用設計のシャシー、革新的な4モーター・パワートレイン、巨大な122kWhバッテリーといった技術的詳細が明かされた。続いて2026年初頭に正式名称が発表され、同年半ばに完全公開される予定だ。
「エレットリカのように革新的な要素が多い場合、車両の構成を段階的に示す必要があります」とベネデット・ヴィーニャCEOは説明する。
エレットリカのデザインは、元アップルのデザイナー、ジョナサン・アイブ氏が率いるLoveFrom社と共同で設計された。現時点では詳細はほとんどわかっていないが、最近目撃されたプロトタイプから、従来の4ドアGTよりも車高が高く、流線形で空力特性を重視したシルエットとなることは明らかだ。ボディサイズも不明だが、以前のプロトタイプはマセラティ・レヴァンテをベースとしていたことから、全長は約5mで、V12エンジン搭載のプロサングエと同程度と推測される。
なぜ4人乗りの「4ドアGT」としたのか?
ヴィーニャ氏は、高級EVおよびスポーツEVの市場が不安定な状況にあることを認めたが、アストン マーティン、ベントレー、ランボルギーニなどのライバル企業が発売を延期している中、フェラーリが初のEVを発売するには絶好のタイミングだと述べた。それは新技術を受け入れ、開発を進めるために迅速に行動する必要があるからであり、この理念は1947年に創設者エンツォ・フェラーリ氏によって確立されたものであるという。
「要点は非常に単純です。革新を起こさなければ、マーケットリーダーと呼ばれる資格はありません」とヴィーニャ氏は語った。

「駆動方法は新しいものです。そう、電気による駆動です。確かに、他社は問題を抱えています。しかし、フェラーリは革新しなければなりません。そして、それをうまく習得すれば、電気で独特のドライビングスリルを提供できるということを世界に示したい」
フェラーリは「技術中立性」を信条としており、これは「顧客を喜ばせるためにあらゆる技術を活用できる」という意味だと同氏は付け加えた。
エレットリカは従来の内燃機関車と同等の性能とハンドリングを目指して開発されたが、「この種のクルマを楽しむ顧客層を拡大すること」に主眼を置いている。ヴィーニャ氏は「これはスーパーカーではない」と断言し、むしろ実用性を重視した4人乗りGTであると説明した。
しかし、4人乗りGTというポジショニングには技術面でも重要な意味があり、この種の車両でこそEV駆動系の真価が発揮されるのだと、製品開発責任者ジャンマリア・フルジェンツィ氏は語る。
「数年前、当社はブランドの新たなコンセプト、要するに既存ラインナップを補完するモデルに関して徹底的な調査を開始しました」
「わたし達が想定していた走行特性、車内空間、視界の条件を満たし、かつ通常はフェラーリの購入を考えない顧客層にも訴求できる理想的な追加要素として、EVが最適だと確信したのです」
フルジェンツィ氏によると、2シーターを電動化した場合、「性能と実用性の向上はごくわずかで、重量増加を相殺するには不十分」だという。
「たとえ驚異的な出力を実現したとしても、電動技術は2シーターのコンセプトにはまったく競争力を持ちません」と同氏は語った。
対照的に、エレットリカのような「汎用性の高い」モデルは、「同等の内燃機関車と比較して」、ダイナミクス、視界、快適性の面でメリットを得られる可能性がある。
車体の形状やサイズ、ポジショニングに関わらず、フルジェンツィ氏はドライバーの没入感と優れたダイナミクス性能が開発の最優先事項だと断言した。「EVではあありますが、概念的にも実践的にも、何よりもまずフェラーリなのです」

































