フェラーリ308 GTBへ匹敵の中間加速 オペル・アスコナ 400(2) モンテカルロで優勝 近年の価値は2000万超え

公開 : 2026.04.05 17:50

世界ラリー選手権のグループ4を前提とした、オペル・アスコナ 400。普通のファミリーカーな第一印象と裏腹に、反応の良いエンジンとシャシーで魅了します。UK編集部が貴重な1台へ試乗です。

フェラーリ308 GTBへ匹敵した中間加速

今でも、オペル・アスコナ 400の加速力に不満はない。新車時、0-100km/h加速を7.2秒でこなすと主張されたが、1981年のAUTOCARでは、6.5秒を計測している。約50km/hから100km/hの中間加速は、フェラーリ308 GTBへ匹敵した。

5500rpmを過ぎると、コスワース・チューンでもエンジンは息苦しくなる。1速が左下のドッグレッグ・パターンで、望ましい回転域は保ちやすい。シフトレバーはストロークが長く、素早く動かすのは難しいとしても。

オペル・アスコナ 400(1979〜1981年/欧州仕様)
オペル・アスコナ 400(1979〜1981年/欧州仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

ステアリングは、突出して精緻なわけではないものの、重み付けは丁度いい。ロックトゥロック2.7回転と、レシオは比較的クイック。敏捷性へ驚く程ではなくても、快適な運転姿勢に落ち着け、小回りが効き運転しやすい。

アルミホイールは、15インチのロナール社製。1980年代には、50は扁平タイヤだったとしても、現代では腰砕けしないギリギリの高さ。ラリーカーのように、コーナーへ飛び込める。ブレーキングでボディは大きく傾くが、グリップ力に優れバランスは良い。

ラリーマシンのイメージと重なるボディキット

ソフトなスプリングで姿勢制御は緩く、タイヤはワンテンポ遅れるように路面を掴む。慣れるまでは頂点をかすめにくいが、思い切り操っている感覚は強い。

オペル・クラシックが管理する今回の車両は、ホワイトの落ち着いた見た目でも、400台提供された多くには派手なカラーリングが施されていた。オペルを象徴するイエローとグレー、ダークグレーのトリコロール・ステッカーで、飾られるのが通常だった。

オペル・アスコナ 400(1979〜1981年/欧州仕様)
オペル・アスコナ 400(1979〜1981年/欧州仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

ボンネットはFRP製で、エアインテークが切られている。ブレーキを冷やすインテークが開いたフロントスカートに、フェンダー上に備わるポリウレタン製フィン、ダックテールのリアスポイラーも、カタチは違うもののラリーマシンのイメージと重なる。

スラロームのようなS字コーナーでは、ラリードライバーのヴァルター・ロール氏になった気分。彼は、アスコナ 400のグループ4マシンを駆り、1982年の世界ラリー選手権でドライバーズ・タイトルを獲得している。

モンテカルロとコートジボワールで優勝

その年は、雪が少なかったラリー・モンテカルロで、FRマシンとして歴代最後となる優勝を飾った。好調を掴んだロールは、シーズンを通じて表彰台へ登り、コートジボワール・ラリーもトップでフィニッシュしている。

ただし、彼とオペルとの関係は不安定だった。タバコを嫌ったロールは、アスコナ 400のスポンサーだったタバコブランド、ロスマンズのPR活動への関与を拒否。他方、アウディに対するロールの自由な発言に対し、ワークスチームは不満を抱いていた。

オペル・アスコナ 400(1979〜1981年/欧州仕様)
オペル・アスコナ 400(1979〜1981年/欧州仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

ロールは、1983年にランチアへ移籍。1982年の最終戦、ロンバードRACラリーの前日に、オペルから解雇されている。それ以降のアスコナ 400と、その後を継いだマンタ 400は振るわず。ロールの実力を、皮肉にも裏付ける結果となった。

とはいえ、英国オープンラリー選手権では、ジミー・マクレー氏がドライブしたアスコナ 400は活躍。1982年の欧州ラリー選手権では、トニー・ファッシーナ氏が優勝し、マクレーも準優勝を掴んでいるが。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・カルダーウッド

    Charlie Calderwood

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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