ホンダ史上初の赤字見通し! 新EV『0シリーズ』SUV&サルーン、アキュラRSX開発中止決定

公開 : 2026.03.13 07:05

3月12日、ホンダが急遽、記者会見を実施しました。2026年3月期通期の業績予想が6900億円の赤字に転落する見通しで、何と新EV『0シリーズ』SUV&サルーン、アキュラRSXの開発を中止します。桃田健史の解説です。

大幅赤字の主な要因は四輪事業不振

3月12日、本田技研工業(以下ホンダ)が急遽、オンラインで記者会見を実施した。

会見の案内が来たのは開催のわずか1時間前。同時刻に発信したプレスリリース、『四輪電動化戦略の見直しに伴う損失の発生および通期連結業績予想の修正と今後の方向性について』に関する説明ということだった。

ジャパンモビリティショー2025の3ショットから半年も経たず、両サイドの2台は開発中止に。
ジャパンモビリティショー2025の3ショットから半年も経たず、両サイドの2台は開発中止に。    本田技研工業

その中でホンダは、2026年3月期通期(2025年4月1日〜2026年3月31日)の業績予想を修正した。前回の発表予想の3000億円の黒字から、6900億円の赤字に転落する見通しだ。

会見で三部敏宏社長は、「現在の会計基準となってから、(ホンダとして)初の赤字と(の予想に)なり、その影響を非常に重く受け止めている」とホンダが置かれている厳しい経営状況に対する受け止めを話した。

大幅赤字となる主な要因は、四輪事業の不振だ。

今回ホンダは何と、北米市場を軸足として導入予定だったEV、『ホンダ0(ゼロ)SUV』、『ホンダ 0サルーン』、そして『アキュラRSX』の開発と販売中止を決断。その損失計上が大きな影響を及ぼしている。

その他、中国やアジアでは顧客価値の変化にホンダが追いつけず販売が低迷。具体的には、クルマに対する志向が燃費や車内空間などハードウェア重視から、車内で顧客が自在に使えるソフトウェアへの転換が挙げられる。

そのため、損益として2026年3月期で最大1.3兆円が発生。そのうち、EV関連で6000億円から8000億円だが、すでに量産を見据え開発した金型などサプライヤーへの補償も必要となる。

さらに2027年3月期でも最大1.2兆円の損失を計上する見通しで、2期連続の赤字の可能性も否定できない。ホンダ史上、極めて厳しい状況だ。

なぜ、予測できなかったのか?

会見を通じて筆者は、『なぜ、EV市場の変化へホンダの対応が遅れたのか?』という点が気になった。

質疑応答の際に記者からも質問があったが、ホンダはジャパンモビリティショー2025(10月30日〜11月9日)で『ホンダ0シリーズ』が切り開く未来への展望を強調していたからだ。

ホンダは3月12日、急遽記者会見を実施。赤字への転落見通しを発表した。
ホンダは3月12日、急遽記者会見を実施。赤字への転落見通しを発表した。    本田技研工業(オンライン会見より)

それに対して三部社長は、今年に入って北米市場でのEV普及率が当初の予定を大幅に下回り、ホンダの将来のためにも抜本的な事業転換を「断腸の思いで」決断したという。

背景には、第2次トランプ政権による環境規制に対する方向転換の影響がある。昨秋のインフラ抑制法(IRA)撤回のよる最大7500ドルのEV購入税額控除廃止はもとより、カリフォルニア州での燃費規制や連邦環境局(EPA)の企業別平均燃費(CAFE)への規制緩和により、米国でのEV販売が大きく落ち込んだ。

ホンダ0シリーズについてはこれまで、筆者を含めた報道陣が栃木県内のホンダ関連施設でプロトタイプを試乗しており、ホンダらしい出来栄えに対して量産への期待が高まっていただけに、開発自体を中止する決定に筆者はかなり驚いた。

なお、ジャパンモビリティショー2025で公開した、インドを主体に日本にも導入予定の『ホンダ0アルファ』の開発は継続。また、これもすでに試乗の機会を得ているが、次世代ハイブリッドシステムを小型車から北米向け大型車まで早期にラインナップを拡充する。

F1アストン マーティン・ホンダの復調を含めて、ホンダ事業全体の早期V字回復を祈りたい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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