令和版『ホンダ・プレリュード』はスペシャリティカーをどう表現したか? 担当デザイナーに訊く、美しさと機能性の両立

公開 : 2026.03.24 12:05

昨年復活した『ホンダ・プレリュード』。グライダーをイメージしてデザインされたという令和版スペシャリティカーを、ホンダはどう表現したのでしょうか? 内田俊一がエクステリアとインテリアの担当デザイナーに訊きました。

キャラクターラインにあまり頼らない面構成

新型『ホンダプレリュード』はグランドコンセプト『UNLIMITED GLIDE~どこまでも行きたくなる気持ちよさ×非日常のときめき』のもと、グライダーをイメージしてデザインされた。

エクステリアは、『グライディング・クロス・スタンス』というキーワードを掲げ、グライダーのように伸びやかで軽快なプロポーションや、三次元的にクロスするようなクリーンかつダイナミックなサーフェイスを表現。

「滑空するような、高揚感を生むスペシャリティスポーツを体現しました」と担当デザイナー。
「滑空するような、高揚感を生むスペシャリティスポーツを体現しました」と担当デザイナー。    本田技研工業

ダイナミックな走りを感じさせるスポーティなスタンスを含めた3つの柱をもとに、「滑空するような、高揚感を生むスペシャリティスポーツを体現しました」と話すのは、エクステリアデザインを担当した大沼紀人さんだ。

「スポーティカーですし、豊かな実寸もありましたので、普遍性のある古くならないようなデザインを上手く表現できたと思っています」

特にキャラクターラインにあまり頼らない面構成は、美しさを感じさせる。その中でも視界のよさにはこだわったそうだ。例えばボンネットからフェンダーにかけて大きなボリューム感を持たせた。

「Aピラーからヘッドライトに向けて、『角度の甘い尾根』があります。これによって実際に運転すると、ドアトリム上部からフードにかけてのボリュームがすごくよく見えて、運転した時の車両感覚つかみやすいんです」と述べ、単純に外から見ただけのデザインではないことを強調する。

グライダーのシャープな浮遊感をイメージ

また、全体を軽く見せるための工夫として、サイドシルまわりからフロントにかけて敢えて作った、上がり気味のキャラクターラインを挙げる。

フロントまわりはエンジンがあるため、どうしても分厚くなり高くなってしまう。それを低く見せるために上から抑える手法もあるが、歩行者保護の観点からも難しい。では、いかにそこを軽く見せるか。

エクステリアデザインを担当したホンダの大沼紀人さん。
エクステリアデザインを担当したホンダの大沼紀人さん。    内田俊一

「低く薄く見せるのではなく逆にちょっと上げることで、上側はそのままに下側のボリュームを減らしています。それによって薄く鋭いノーズ、それもグライダーのシャープな浮遊感をイメージしました」

こうしてフロントの軽快かつ浮遊しているかのような、シャープな印象を作り上げるのに寄与しているのだ。

ではインテリアはどうだろう。デザインを担当した東森裕生さんが、こう解説する。

「ふたりのための特別な空間で、お互いの気持ちが共鳴し合うような世界観でデザインしました。この価値を生むためのコンセプトとして、『グライディングコクピット』と名付けています。すごく速いスピードで走るクルマがタイプRだとすれば、より日常生活の中に適している走りも持たせたのがプレリュードです」

ちなみにエクステリアで、ドアアッパーからフードへの流れが車線をキレイにトレースしていくように見せているのも、同じ理由だ。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    内田俊一

    Shunichi Uchida

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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