新型『ホンダ・プレリュード』は戦闘機でなくグライダー 開発責任者が語る、車名を襲名した意味とその未来

公開 : 2026.03.24 11:45

昨年復活した『ホンダ・プレリュード』。そのコンセプトには開発責任者である山上智行さんの、幼少時代の思い出も詰まっているといいます。ではそもそも、プレリュードはなぜ再び生まれたのでしょうか? 内田俊一のレポートです。

CR-Xという方向性も考えていた

昨年復活した『ホンダプレリュード』。そのコンセプトには開発責任者である山上智行さんの、幼少時代の思い出も詰まっているという。ではそもそも、プレリュードはなぜ再び生まれたのだろう。

「ホンダの現行スポーツラインナップが(タイプRを除き)なくなってしまうことから、次を会社として考えていました。本格的な電動化社会がやって来ることもあり、ホンダの電動化スポーツモデルが必要になったのです。そもそもスポーツカーをやりたいというモチベーションを、私を含めて現場では常に持っています。そのふたつのタイミングが融合したのが今だったのです」

昨年復活した『ホンダ・プレリュード』。未来を見据えた電動化スポーツモデルだ。
昨年復活した『ホンダ・プレリュード』。未来を見据えた電動化スポーツモデルだ。    本田技研工業

そう語る山形さん。しかし今ある技術や資産(=シビック)を使ってスポーツモデルを作ることになり、世間がBEVに向かう中ではあるが、「今フルハイブリッドでいいのかと思いつつ、だからこそ早く出さねばならないというモチベーションにもなりました」と明かす。その時点ではまだ、プレリュード復活というお題目ではなかった。

そこで山上さんは、CR-Xという方向性も考えていたそうだ。長年ホンダのスポーツカーはデザインとダイナミクスを大切にしてきたが、それだけではなく特別感、スペシャリティなものも必要だと考えると、「(今回のプレリュードのように)クーペであり、リアに大きな開口部のあるハッチバックであり、ハイブリッドになるのかもしれません」。

「例えば低さを求めるなど、ホンダの持っている最新のものを採用し、それが他のラインナップでもチャレンジする役割を昔のプレリュードは持っていました。そういった特別なイメージと繋がっていったんです。つまりプレリュードと自ら名乗ったのではなく、襲名したのです」

最初はどれもピンと来なかった

通常ホンダは、車両開発に際しグランドコンセプトを掲げる。これは開発の方向性を明確にするワードであるが、プレリュードは『UNLIMITED GLIDE~どこまでも行きたくなる気持ちよさ×非日常のときめき』とされ、グライダーをイメージしたという。

「最初は自由に考えていて、デザインも様々なスケッチがありましたが、正直、どれもピンとは来なかったんです。

プレリュードの開発責任者であるホンダの山上智行さん。
プレリュードの開発責任者であるホンダの山上智行さん。    内田俊一

例えばエベレストに登るエクストリームなスポーツもあれば、近所を散歩するのもスポーツだとすると、スポーツカーも戦闘服を着てヘルメットを被ってという方向だけでなく、Tシャツで乗るようなものもあるでしょう。そのイメージから、グライダーがヒントになりました」

しかし、そうは言ってもグライダーには繋がりにくいように思う。そう尋ねると、山上さんは幼少時の思い出を語ってくれた。

「子供の頃、祖父が作った模型のグライダーを河原で飛ばした思い出があるんです。その時に空を見上げたイメージをデザイナーに話していて、プレリュードは戦闘機じゃなくてグライダーの方向ではないかと気が付きました。

そこで実際にグライダーを見て乗せてもらうと、とても優雅で、気持ちよく飛んでいるんです。そこからデザイナーのスケッチがガラッと変わり良くなりました」

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    内田俊一

    Shunichi Uchida

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

新たな前奏曲!6代目ホンダ・プレリュードの前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事