英国人が支持しなかった不思議 MGB GT V8(2) 新車時以上の好印象 乗り心地が生む走りの違い

公開 : 2026.04.26 17:50

タービンのような唸りを放つV8エンジン

運転席へ座ると、ウインドウが直ぐ側にあり、ボディの小ささを実感。シボ加工されたダッシュボードが、ビンテージ感を強める。ヒーター系のスイッチも、時代を感じさせる。正規仕様のスピードとタコメーターは、通常のMGBよりひと回り小さい。

コステロ仕様には、補機メーターが追加されている。ロールバーとプッシュボタン式のスタータースイッチは、前オーナーが後付けしたもの。V8エンジンは、より滑らかに回り、サウンドは豪快。量産版のGT V8が鈍い訳ではないが。

ブルー・グリーンの量産版MGB GT V8と、レッドのMGB GT V8 コステロ
ブルー・グリーンの量産版MGB GT V8と、レッドのMGB GT V8 コステロ    マックス・エドレストン(Max Edleston)

タービンのような唸りを放つV8エンジンは、中域トルクが太い。クラッチペダルは、2台とも重めながら繋やすい。アクセルペダルの反応も滑らかだ。車重は1.1tを切り、オーバードライブに入れたまま、60km/hからグングン加速していく。

手を伸ばせば、自然な位置にシフトノブ。軽い引っかかりはあるものの、小気味よく変速でき、パワートレインの洗練度を強調する。

乗り心地の違いが生む操縦性の印象

低域での乗り心地は、コステロ仕様なら、印象的にしなやか。一方、量産版は明確に硬い。思わずアスファルトのツギハギを避け、凹凸へ身構えてしまう。

その結果、操縦性も異なる。正規のGT V8も充分速いものの、重めのバネ下重量と相まって、全体的な流暢さでコステロ仕様に届かない。速度域が上昇すれば改善するが、路面の影響は受けがちで、逞しいエンジンの能力を引き出しにくい。

MGB GT V8 コステロ(1970〜1973年/英国仕様)
MGB GT V8 コステロ(1970〜1973年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

ボディロールは小さく、安定性に優れ、ステアリングも正確。速めのペースで巡る乗り方が向いている。対して、コステロ仕様は車高が僅かに低く、パワーで勝り、遥かに機敏。ステアリングはより軽く、積極的にカーブへ飛び込める。

発売から53年が過ぎ、量産版のGT V8は、新車時以上の好印象を与える。当時の英国人が、強い関心を示さなかったことが不思議なほど。とはいえ、コステロ仕様の方が更に優れていたことは、否定できない事実だろう。

協力:MGカークラブV8レジスター

正規仕様とコステロ仕様 MGB GT V8のスペック

MGB GT V8(1973〜1976年/英国仕様)

英国価格:2309ポンド(新車時)/3万ポンド(約620万円)以下(現在)
生産数:2591台
全長:3886mm
全幅:1524mm
全高:1245mm
最高速度:201km/h
0-97km/h加速:8.6秒
燃費:7.1-8.9km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1083kg
パワートレイン:V型8気筒3528cc 自然吸気 OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:138ps/5000rpm
最大トルク:26.6kg-m/2900rpm
ギアボックス:4速マニュアル+オーバードライブ/後輪駆動

MGB GT V8 コステロ(1970〜1973年/英国仕様)

英国価格:2392ポンド(新車時)/3万5000ポンド(約735万円)以下(現在)
生産数:220台(ロードスター30台を含む)
全長:3886mm
全幅:1524mm
全高:1245mm
最高速度:206km/h
0-97km/h加速:7.8秒
燃費:6.4km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1040kg
パワートレイン:V型8気筒3528cc 自然吸気 OHV
使用燃料:ガソリン
最高出力:152ps/5000rpm
最大トルク:27.7kg-m/2750rpm
ギアボックス:4速マニュアル+オーバードライブ/後輪駆動

MGB GT V8 コステロ(1970〜1973年/英国仕様)
MGB GT V8 コステロ(1970〜1973年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーティン・バックリー

    Martin Buckley

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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