唯一のTWRチューニング リンクス・イベンター(2) 印象的にマイルドな385ps 正規モデルのように高い完成度
公開 : 2026.06.06 17:50
使い勝手に優れた、優雅で強力なジャガー
美麗なシューティングブレークへ粗大ごみを積むのは、筆者ならためらう。4スポークのステアリングホイール・ボスには、TWRのロゴが刻まれている。ボンネット越しに流れる景色を眺めながら、地平線の向こうへ走りたいと願うだろう。
3速ATが高域までギアを保持するが、385psを生み出すとされるV12エンジンは、印象的なほどマイルド。スムーズに加速し、気付くと公道ではばかれる速度に届いている。

許される環境なら、160km/hへの加速も静かにこなす。後方へ伸びたルーフラインは空力的に有利なはずで、クーペのXJ-Sより最高速度は若干高いと予想する。
使い勝手に優れた、優雅で強力なクラシック・ジャガー。正規に提供されていたら、XJ-Sの生産数を伸ばしたに違いないが、希少性は今ほど高くなかったはず。最も魅力的なXJ-Sだと感じるのは、挑戦的な技術者による特別な仕事であることも、理由といえる。
番外編:イベンター第1号車の行方は?
リンクス・イベンターの第1号車は、1982年にクリス・キース・ルーカス氏ら、同社のスタッフによって手作業で製作。3.2万kmのテスト走行を終えると、ミュージシャンのルパート・ハイン氏が購入している。
その荷室には、彼のランドローバー・レンジローバー以上に、多くのシンセサイザーを積めたという。「サンルーフ付きのイベンターは、このクルマだけなんです」と説明するのは彼の妻、フェイ・モーガン・ハイン氏だ。

1980年代には、歌手のティナ・ターナー氏をイベンターで迎え、バッキンガムシャーのスタジオまで頻繁に向かったとフェイは振り返る。「車内でテープを再生し、当日に歌う曲を練習していました。スタジオへ着く頃には、自分のものにしていたようです」
2000年にアメリカへ夫妻は移住するが、イベンターはフランスのガレージで保管。ルパートは2020年にこの世を去り、現在は妻のフェイが維持し、運転を楽しんでいるそうだ。「印税が入ると、イベンターのメンテナンスに充てているんですよ」
協力:ブロードウェイ・タワー社
















































































































































