メルセデス・ベンツSL「73」AMG(2) パガーニ・ゾンダも搭載したV12 M120ユニット 神秘性を醸し出す、43台の究極特別注文モデル

公開 : 2026.07.19 17:50

3速でも速度計の針は勢いを緩めない

ところが、アクセルペダルを傾けた途端にAMGらしく突進。強烈なトルクが、幅10.0Jのホイールへ巻かれたダンロップタイヤを容赦なく回す。トラクション・コントロールが、慌てたように介入する。

V12エンジンの音色は、2基並んだ直6が奏でるハーモニーのように心地良い。2速へシフトアップし、陶酔するように6000rpmへ。3速でも、速度計の針は勢いを緩めない。

メルセデス・ベンツSL 73 AMG(1999~2001年/欧州仕様)
メルセデス・ベンツSL 73 AMG(1999~2001年/欧州仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

ブレーキペダルを踏み込み、社会性ある速度でステアリングを握れば、不気味なほど落ち着いたR129型へ即座に戻る。乗り心地は若干引き締まり、操縦性のバランスは素晴らしい。さっきまでの獰猛さが、嘘のような優雅さへ浸れる。

路面を滑走するように進むさなか、贅を尽くしたレザー内装を堪能する。AMGのロゴが各所に配され、センターコンソールは艷やかなウォールナット・パネルで覆われる。スイッチ類が、隙なくレイアウトされている。風の巻き込みは、殆どない。

特有の神秘性を醸し出す究極のSL 73

SL 73 AMGは2001年まで生産が続き、入れ替わるように、躍動的なスタイリングをまとった次世代のR230型SLが登場。巧妙に畳まれる格納式ハードトップ、バリオルーフが話題を集めたが、当初からAMGモデルも計画に含まれた。

2002年にSL 55 AMGが投入され、2005年にはV12ツインターボのモンスター、SL 65も登場。2000年に1万1500台だったAMGの生産数は、それまでに倍増していた。

メルセデス・ベンツSL 73 AMG(1999~2001年/欧州仕様)
メルセデス・ベンツSL 73 AMG(1999~2001年/欧州仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

1人の職人が1基のエンジンを完成させる、「ワンマン・ワンエンジン」哲学は、組み立て数が増えても堅持された。メルセデス・ベンツがアイデンティティを再構築する傍らで、AMGはカリスマを維持。ブラックシリーズやSLSなどで、自動車史に名を刻んだ。

今なお、特有の神秘性を醸し出すSL 73 AMG。イタリアのハイパーカーへ登用されたエンジンを積み、値段を気にしない富裕層に選ばれる価格だったが、フォーマルな雰囲気は崩していない。真の究極が目指された、至高のAMGといえる。

協力:スプリングフィールド・ファーム・クオリー社

メルセデス・ベンツSL 73 AMG(1999~2001年/欧州仕様)のスペック

英国価格:50万スイスフラン(新車時)/60万ポンド(約1億2600万円)以下(現在)
生産数:43台
全長:4470mm
全幅:1812mm
全高:1303mm
最高速度:249km/h(リミッター)
0-97km/h加速:4.8秒
燃費:7.1km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:2050kg
パワートレイン:V型12気筒7291cc 自然吸気 DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:532ps/5500rpm
最大トルク:76.3kg-m/4000rpm
ギアボックス:5速オートマティック/後輪駆動

メルセデス・ベンツSL 73 AMG(1999~2001年/欧州仕様)
メルセデス・ベンツSL 73 AMG(1999~2001年/欧州仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

記事に関わった人々

  • 執筆

    アーロン・マッケイ

    Aaron McKay

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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