電動の現代版イセッタ登場! マイクロ・マイクロリノへ試乗 全長2519mmでフロントドア

公開 : 2024.10.10 19:05

カーボンニュートラルで注目を集めるマイクロカー 1950年代のイセッタを想起させる新参登場 全長2519mmでフロントドアの2シーター 小型ハッチバックへ近い操縦性 英編集部が評価

1950年代のイセッタを想起させるマイクロEV

欧州で販売されている電動マイクロカー、シトロエン・アミは、正式には自動車ではない。クワッドサイクルという、別のカテゴリーに該当する。乗り心地や走行音は、8000ポンド(約153万円)以下の低価格が許させる。

それでは、今回試乗したマイクロリノはどうだろう。ボディサイズはアミとほぼ同じだが、英国価格はその2倍もする。

マイクロ・マイクロリノ(英国仕様)
マイクロ・マイクロリノ(英国仕様)

マイクロリノは2016年に発表され、欧州では2022年に発売された電動マイクロカー。スイスのマイクロ・モビリティ・システムズ社が提供する、初めての量産モデルだ。

同社は、1990年代後半に折りたためるスクーターで創業。事業拡大のため、1950年代のマイクロカー(バブルカー)、イセッタを想起させるバッテリーEVの製造へ大きく舵を切った。

スタイリングは、紛うことなき現代版イセッタ。フロントガラスごと開くフロントドアを備え、丸いヘッドライトが突き出ている。ちなみに、これはサイドミラーも兼ねている。三輪だったイセッタと異なり、マイクロリノは四輪。リバースギアも備わる。

グレートブリテン島ではクレイジー・ホース社が代理店で、2025年に1000台の販売を想定している。南部のリゾート地などで、小さくない需要が見込めるという。

大きなキャンピングカーのオーナーも、目的地での移動手段として便利だろう。英国価格を考えると、小型ハッチバックのトヨタ・アイゴXやキア・ピカントなどと比較される可能性も高い。

全長2519mm フロントドアの2シーター

マイクロリノを市街地で運転すると、レトロフューチャーな見た目で沢山の視線を集める。子どもたちは喜び、バスの乗客の1人は窓を開けて「それは何?」と大声で聞いてきた。もちろん、頻繁にスマートフォンが向けられる。

寸法は全長が2519mmで、全幅は1473mm、全高は1501mm。オリジナルのイセッタよりだいぶ大きい。それでも、現代の交通の中では明らかに小さい。実は、オリジナルのモーリス・ミニやフィアット500より、少し大きいだけでもある。

マイクロ・マイクロリノ(英国仕様)
マイクロ・マイクロリノ(英国仕様)

技術的には、現在のバッテリーEVとして一般的なもの。駆動用モーターが1基載り、2本のリアタイヤを駆動。スチールとアルミが用いられたモノコック構造のフロア部分に、リチウムイオンの駆動用バッテリーが敷かれている。

フロントドアを開いて運転席へ座ると、普通の小型車のようで安心感がある。平均的な大人が2名乗れるベンチシートが備わり、運転姿勢も窮屈ではない。ステアリングコラムの角度は調整できないが、アミより長時間でも快適だろう。

その長いコラムは車内側に固定されており、乗り降りする時はステアリングホイールを避ける必要がある。しかし、ドアは電動で開閉してくれる。つり革のようなハンドルを、強く引く必要はない。

ボトルホルダーやグラブハンドルは標準装備。送風位置などを選べる小さなタッチモニターは、アップル・カープレイへ対応する。試乗車には、オプションのプレミアム・インテリアと、ポータブル・スピーカーが追加されていた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

関連テーマ

おすすめ記事