歴代初めて日本に正規輸入された『BMW M5ツーリング』 プラグインハイブリッド化で得たキャラクターは「羊の皮をかぶった狼」

公開 : 2026.07.13 17:05

意外にもしなやかな乗り心地

ただし、パワーや存在感をいくら強調してもM5ツーリングの特徴、その一端に過ぎない。もし貴方がM3に乗った経験があるなら、街中で走らせた時にスパルタンさを感じたことだろうし、M5ツーリングにも同様のイメージを持つことだろう。

M5ツーリングは5シリーズ・ツーリングよりもさらにパワーとトルクを得ると同時に、車重も2490kgと重いことから、足まわりは当然固められている。しかし、今回取材して感心したのは、その乗り心地が不快さと無縁であること。例えるならば『お腹いっぱいにご飯を食べた後でも十分に乗ることができる』、しなやかさを持ち合わせているのだ。

今回取材して感心したのは、その乗り心地が不快さと無縁であることだ。
今回取材して感心したのは、その乗り心地が不快さと無縁であることだ。    BMW

もちろんモードを切り替えてダイナミックを選べば、乗り心地はハードになり、エンジンサウンドとともにステアリングはよりシャープになる。アクセルコントロールもほんのわずかの踏み込み量で敏感に反応してくれるのはMらしい部分で、思い切りアクセルを踏み込めば頭をバックレストに押し付けられるような気が遠くなるような力強い加速を、一糸乱れない直進安定性を保ちながら開始するのは、四駆システムの緻密な制御によるところが大きい。

WLTCモード値を上まわる実燃費

実際の燃費にも触れておこう。トータル520km走らせた結果、以下のような結果だった。( )内はハイブリッド燃料消費率WLTCモード値となる。

市街地:8.1km/L(6.4km/L)
郊外:9.8km/L(9.9km/L)
高速:13.0km/L(11.8km/L)

いずれのシーンでも実燃費がWLTC値を上まわった。
いずれのシーンでも実燃費がWLTC値を上まわった。    BMW

いずれのシーンでも実燃費が上まわっていたのには驚きであり、特に13km/Lという高速燃費は、このパフォーマンスを考えると優秀といえよう。

冒頭にM5の成り立ちを記したが、そこから見えるのは、M5はあくまでも高性能セダンというスタンスで、それは現行も踏襲しており、当然ツーリングも同様だった。

例えば、早朝にラゲッジへ荷物を積み込み、自宅から郊外へ出発する時や美しい景色が眺められる海辺や高原では静かな電駆で。その往復の高速やワインディングでは、エンジンサウンドとハンドリングを楽しむ。しかも疲れとは無縁の乗り心地を伴って。

そう考えると、やはりM5ツーリングは羊の皮をかぶった狼なのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    内田俊一

    Shunichi Uchida

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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