前輪駆動ホットハッチ前夜 フォード・エスコート x ヴォグゾール・シェベット x タルボ・サンビーム(1) 手頃なラリー・レプリカたち

公開 : 2026.08.02 17:45

きっかけを与えれば自然にテールスライド

2.3Lエンジンを始動させ、アクセルペダルを傾けると、キャブレターが意欲的な吸気音を奏でる。1速は、左下のドッグレッグパターン。発進はやや重く、3000rpm前後にトルクの谷があるが、遠慮なしにエンジンを回せば本来の活発さが顕になる。

今回の中では最も素早くシフトレバーを倒せ、中域以上での加速力は弾けるよう。ツインカムらしい咆哮を放ちながら、5800rpmのレッドラインまで一気に回る。思い切り操ることで、一体感が増していく。

ヴォグゾール・シェベット HS(1978~1980年/英国仕様)
ヴォグゾール・シェベット HS(1978~1980年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

姿勢制御の締まり具合は、3台では真ん中。トーヨー・プロクセス・タイヤが、圧巻なフロントのグリップ力を生み出す。一方でリアは、きっかけを与えれば自然にスライド。手に負えなくなることはない。

ステアリングにアシストはなく、速度が増すほど重みも増える。レシオはクイックな側にあるが、フィードバックは限定的といえる。それでも林道へ紛れ込めば、気分はラリーステージ。タルボフォード以上の、劇場感へ夢中になれる。

ラリーの精神を継いだ特別仕様

他方、フォードがエスコート Mk2でホモロゲ仕様としたのは、RS1800。1975年から英国RACラリーで連勝を重ね、1979年にはWRCドライバーズ・タイトルをビョルン・ワルデガルド氏へ掴ませている。

エスコート RS2000は、そのラリーの精神を継いだ特別仕様。RS1800のアグレッシブなコスワースBDAユニットではなく、手懐けやすいピント・ユニットでも、強い不満を呼ぶことはなかった。実際、1980年までの5年間に約1万台が提供されている。

フォード・エスコート RS2000(1975~1980年/英国仕様)
フォード・エスコート RS2000(1975~1980年/英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

エンジンは2.0LのSOHCで、最高出力は111ps。標準はウェーバーのシングルキャブレターだが、オプションでツインキャブにすることもできた。4速MTを駆使すれば、0-97km/h加速は8.6秒、最高速度は177km/hで、シェベット HSへ迫った。

サスペンションは、前がマクファーソンストラット、後ろがリジットアクスルで、標準のエスコートと同等。安定性を高めるため、リアにラジアスアームが組まれている。

この続きは、フォード・エスコート x ヴォグゾール・シェベット x タルボ・サンビーム(2)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

フォード・エスコート x ヴォグゾール・シェベット x タルボ・サンビームの前後関係

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