アウディQ5はディーゼルがベストバイ? モデル全体に漂う中庸の美学【日本版編集長コラム#91】

公開 : 2026.07.19 12:05

長距離移動に勇気が湧く数字

2L直列4気筒ターボとなるディーゼルのスペックは、最高出力204ps(150kW)/3800-4200rpm、最大トルク40.8kg-m/1750-3250rpm。数字は標準的だが、今回1000km近く走行する中で、いかにもディーゼルらしく力強い走りを見せてくれた。

また、借り出した時の航続可能距離は1110kmと表示されており、500kmを超えれば御の字のEVたちに比べると、まだまだ長距離移動に勇気が湧く数字だ。参考までに期間中の平均燃費は13.6km/Lであった。

2L直4ディーゼルターボのスペックは、最高出力204ps/3800-4200rpm、最大トルク40.8kg-m/1750-3250rpm。
2L直4ディーゼルターボのスペックは、最高出力204ps/3800-4200rpm、最大トルク40.8kg-m/1750-3250rpm。    平井大介

2t以上ある車重に対する足まわりの処理は、劇的にいいとは言えないが、気になるレベルではなかった。ただし、実は35万円のオプションで『アダプティブエアサスペンション』が用意されているのは見逃せない。別のアウディで乗ったエアサスが素晴らしかったので、乗り心地を重視する方は要注目だ。

ちょっと気になったのは、レーンキープアシストのステアリング修正が急だったこと。前に乗った方が修正機能をオフにしていたみたいで最初は不思議に思ったが、急な動きを体感してみてその理由がすぐに理解できた。

また、前車に追従する際の自動ステアリング操作が装備されていないのは意外だった。このあたりはブランドの考え方なのか、機会があれば取材してみたい。

バランスのとれた中庸を美学とするクルマ

全般的に平均点は高く、どれも飛びぬけてはいないが凹んでいるところも少ない。例えるならば、バランスのとれた中庸を美学とするクルマ。Q5に乗っていて思ったのはそんなことだ。

実は走っていると特に高速道路でステアリングの中立付近がはっきりしない、ぬるっとした感触があった。FFなどでその傾向が見られる、ステアリングを離してもずっと真っすぐ走りそうな感覚はなく(実際には離さないが)、常に細かくステアリングを修正する必要がある。

全般的に平均点は高く、どれも飛びぬけてはいないが凹んでいるところも少ない。
全般的に平均点は高く、どれも飛びぬけてはいないが凹んでいるところも少ない。    アウディ・ジャパン

最初は違和感があったが、実はこのあとに乗ったSQ6 eトロンでも同じことを感じた。以前の取材で最近のアウディは、乗りやすさを重視しているという話も聞いたので、これは恐らく快適性、走行性、実用性をバランスさせた結果であり、スポーツカーのようなエッジを効かせない考え方なのだろう。

これらは乗ってすぐにわかるよさというよりも、じわじわと身体にフィットするタイプだと感じた。

このクラスのSUVは、各ブランドともエース級が揃っており、アウディも過去の実績から失敗や冒険のできないモデルチェンジとなった。そんな中で1000km以上走るディーゼルで815万円という価格は、魅力的なパッケージに思える。

結論として、やはりQ5はディーゼルがベストバイのようだが、今度はエアサス付きを試してみたくなってしまった。……そしてこのアウディ話は、次回のSQ6 eトロンへと続きます。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影 / 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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