新たな自動車会社『EMT』打越CMO単独インタビュー(前編) このままじゃダメだという意識 ゼロスタートだからできること

公開 : 2026.08.13 11:45

老舗の安定感や安心感はいらない

そのように感じていた打越氏がEMTに入ったときには、第1号車になる軽EVの開発はある程度進んでいた。ただ、それをどこで売るかということに関しては、ほぼ真っ白な状態だった。

「最初にお声掛けをいただいたときは、仕事が何かを全部は教えていただかなかったんですが、会社の概要を聞いて面白そうだという気持ちになり、まずは聞くだけ聞いてみようという気持ちになりました。

EMTのブランド『エムタ』では、2029年までに4車種の発売を予定している。
EMTのブランド『エムタ』では、2029年までに4車種の発売を予定している。    EMT

すると、マーケティングだけではなく、セールスやネットワーク、アフターサービス、さらにはブランドと、すべてをゼロからやらせてもらえるとのこと。これ以上幸せなことはないと思い、入社することにしました」

昔はともかく、その頃の打越氏には、老舗ならではの安定感や安心感がいいという気持ちはほとんどなかった。それよりも、『このままじゃダメだ』という意識を持っていて、海外で勉強してきたことを生かして変えていきたいと考えていたので、願ってもない話だったようだ。

将来は日本で生産していく計画

とはいえ一方で、ビジネススキームにオートバックスが関わっていることはプラスだったとも語っていた。中国ブランドのクルマをそのまま日本へ持ってくる会社ではなく、日本のユーザーのために比較検討を重ねて開発し、それを中国から導入しつつ、将来は日本で生産していくという計画にも共感を抱いたという。

日本は、中国のクルマに対して厳しい目を向ける市場だ。しかし中国に駐在し、今でも当時の友人と交流がある打越氏は、個人的な考えと前置きしつつ、中国に対して否定的な人の多くは、現在の中国の実力を知らない、あるいは知ろうとしていないのかもしれないと語っている。

中国で実車を見た関係者は「これは絶対に売れる」と口をそろえるそうだ。
中国で実車を見た関係者は「これは絶対に売れる」と口をそろえるそうだ。    中島仁菜

「EMTの立ち上げに伴い中国を訪れたオートバックスやディーラー候補の関係者は、『行く前と行ったあとでは中国に対する印象がまったく変わった』と話しています。実態を知ることで、認識は大きく変わると思っています。なので私は『売れない』といった悲観的な見方はしていません」

*新たな自動車会社『EMT』打越CMO単独インタビュー(後編)に続きます。

記事に関わった人々

  • 執筆

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。
  • 撮影

    中島仁菜

    Nina Nakajima

    幅広いジャンルを手がける広告制作会社のカメラマンとして広告やメディアの世界で経験を積み、その後フリーランスとして独立。被写体やジャンルを限定することなく活動し、特にアパレルや自動車関係に対しては、常に自分らしい目線、テイストを心がけて撮影に臨む。近年は企業ウェブサイトの撮影ディレクションにも携わるなど、新しい世界へも挑戦中。そんな、クリエイティブな活動に奔走しながらにして、毎晩の晩酌と、YouTubeでのラッコ鑑賞は活力を維持するために欠かせない。

新たな自動車会社『EMT』打越CMO単独インタビューの前後関係

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