【連載:清水草一の自動車ラスト・ロマン】#38 フロアMTの魔力!B210サニークーペ
公開 : 2026.08.07 12:05
とにかく全開! ひたすら全開!
免許取得当日の夜。彼女のいない私は、妹を助手席に乗せて首都高に突入した。1980年当時の教習所はまだ高速教習もなかったから、高速道路を走ったのはそれが最初だった。
首都高は複雑すぎてまったくワケがわからず、死ぬかと思った。妹はもっと怖い思いをしただろう。ごめんなさい。

しかしその後、関越や東名など普通の高速道路を知って、私は狂った。直線番長のスピード狂になったのである。
サニーで高速道路を走ると、アクセルを床まで踏みつけないと気が済まない。とにかく全開! ひたすら全開! コーナリングがどうこうみたいな難しいことは一切頭になく、高速道路の直線を見ると血が騒ぎ、狂ったようにアクセルを踏み込んだ。
私がカーマニアになったのは、あのサニークーペが原因だ。サニーは最後までカッコ悪かったし、愛情みたいなものは芽生えなかったけど、あのクルマが私に、アクセル全開の快楽を教え込んだ。
それは決してサニークーペの魔力とかではなく、あえて言えば、『フロアMTの魔力』だったかもしれない。うお~ん。
(つづく/隔週金曜日掲載、次回は8月21日金曜日公開予定です)






