フォルクスワーゲン・パサートGTE

公開 : 2015.07.17 23:40  更新 : 2017.05.29 18:57

■どんな感じ?

パサートGTEは、2種類の優れたクルマが1つに合わさったかのようなクルマだと感じる。超実用的かつゼロ・エミッションの電気自動車が1種。完全無欠のロング・クルーザーとしての立場が1種だ。

ただ、運動神経優れるクルマとは思うことなかれ。標準の1.4TSIから350kg増えていることを常々感じるのは事実である。

独立したLEDデイライトをもつ専用のフロント・バンパー、グリル上のブルーのアクセント、フェンダーに貼り付けられたGTEバッジ、17インチの ‘モンペリエ’ ホイール(テスト車はオプションの18インチ)など、外観上でGTEと識別できる点はわずかしかない。

内装は、エネルギー・ゲージを含むインストゥルメント、LEDのグラフィックス、ブルーのステッチ入りのステアリング・ホイール、専用のシフト・ノブ、光沢あるブラック・トリム、新デザインのシート・トリムなどがGTEならではの仕様である。

先述のようにガソリン・タンクがわずかに後方に移動しているため、カーゴ下の荷室容量は小さくなっているが、収容能力は基準車と大きく変わらず。650ℓという荷室容量も決して悪い数値ではない。

バッテリーが十分に充電された状態であれば、走りはじめは常にE-モードからとなるのはゴルフGTEと同じ。意図して強めにアクセルを踏み込んでみれば、モーター駆動ならではの勢いのある加速が見込める。電気モードの全般的な洗練性は目を見張るほど。なめらかなパワー供給や静粛性は、走っていて誇らしい気もちにさせてくれる。

コンフォート・モードよりもエレクトリック・モードの方がダンピング特性は快適性重視。市街地で凹凸を乗り越えると、たいていの入力をスッといなしてくれる。

長い距離を走行する場合は、バッテリーに余分を残しつつ充電し、後になって電気の力を借りるということもできる。短時間で移動し、目的地でゼロ・エミッション走行をするという使い方もできるというわけだ。仮にバッテリーの残量がなくなれば、内燃機関が即座に目覚める。もちろんドライバーがエンジンをオンにすることもできる。その際に使用するのがGTEボタンなのである。

内燃機関が鼻先で蠢動していることは感知できるが、キャビン内部に音が漏れ入るようなことは皆無。GTEモード時にはスロットル/ステアリング/ギアボックスのマッピングも変わるためよりスポーティな味わいとなる。足廻りも引き締まる。ドライバーは、インストゥルメント・パネルを通じてどのモードが選択中であるかを確かめられる。航続可能距離、エネルギー・フロー、ゼロ・エミッションか否かのみならず、ナビの情報などを示してくれるのもありがたい。

空いた道をハイブリッド・モードで走ってみると、文句なく速く、スロットル・レスポンスも研ぎ澄まされていると感じる。追い越し時にアクセルを踏み込んでみると、電気モーターのアシストがいかに心強いかを感じられる。2000rpmよりうえではガソリン・エンジンも息を吹き返す。その際の力強さはこの手のサイズのクルーザーにぴったりだと感じる。

車重こそ増えているが、身のこなしが遅鈍に感じられることもない。ステアリング・フィールは物足りないが、ダイレクトであり、少なくとも狙ったラインをトレースすることは難しくない。乗り心地は、パサートGTEの最大の長所ともいえる。エクセレント。

ただ、発進と加速を繰り返すような状況だと、1速と2速の間で気になる振動を伝えることがあった。ブレーキの踏み始めにスポンジーに感じる部分もあった。このようなシチュエーションであれば、ギア・レバーを倒してBモードを選ぶことをおすすめする。回生の度合いが増すぶん、ペダル・フィールに苛立ちを覚える回数が減る。

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